東京・下町を舞台に、過去と現在が織り交ざる、切なく幻想的な映画『リング・ワンダリング』。本作の主人公・草介は漫画家を目指し、絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく形にできず前に進めない。そんなある日、バイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探す不思議な娘・ミドリと出会う。転倒しケガをしたミドリを、彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた。草介はミドリとその家族との出会いを通じて、その土地で過去に起きたことを知ることになる。東京の土地に眠る、忘れられた人々の想いがよみがえる、幻想的な物語。
監督は初長編作『アルビノの木』が海外映画祭で20もの賞を獲得し注目された金子雅和監督。自然と人間の関係性を描いてきた監督が、はじめて東京を舞台に、町や人々の記憶と対峙した。美術監督は『Shall we ダンス?』で日本アカデミー賞最優秀美術賞受賞の部谷京子、『花筐』の宣伝ビジュアル画を担当した森泉岳土が務め、現実と幻想が入り交ざる世界観を作り上げた。
主人公・草介を演じる笠松将は日本テレビ系「君と世界が終わる日に」やWOWOW「全裸監督 シーズン2」、マイケル・マンがエグゼクティヴ・プロデューサーと第1話を監督するドラマシリーズ「TOKYO VICE」など話題作への出演が続き、注目を集める若手俳優。地に足がつかず漠然とした不安を抱える現代の若者のリアルを、絶妙なバランスで演じている。ミドリと梢の二役を演じる阿部純子は海外作品にも多数出演する国際派。本作では、幻想世界のヒロインの神秘性を体現した。ほか、主演映画が相次ぐ安田顕、金子監督の初長編『アルビノの木』でも存在感を放った長谷川初範、日本映画界に欠かせない片岡礼子らが脇を固める。
この度、金子雅和監督自らによる特報映像が公開された。雪の積もった土の上を歩く男の姿、涙をこぼす主人公・草介、動物の頭蓋骨、凛とした表情を見せるヒロインなど、本編中の印象的な場面が切り取られ、最後に「忘れないで、私の姿・・・」というヒロインの声で締めくくる、幻想的な世界を想像させる映像となっている。
同時に公開されたティザービジュアルは、筆書き風のタイトル文字とともに、劇中漫画の作画を担当する漫画家の森泉岳土が手掛けたイラストレーションがあしらわれ、新たなる金子ワールドを期待させるデザインとなっている。
さらに、第37回ワルシャワ国際映画祭コンペティション部門への正式出品が決定。映画祭ディレクター、ステファン・ラウディン氏は本作を招待した理由について「物語に感動し、泣き笑いする時、私たちは映画の素晴らしさを感じます。また、映画を観ていると、私たちはある種の魔法の目撃者となることがあります。映画の魔法。それは素晴らしく、しかし稀にしかできない体験です。そして『リング・ワンダリング』には、その全てが備わっているのです」と語り、激賞している。コンペティション部門グランプリのこれまでの受賞作は、2010年にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『灼熱の魂』、2013年にパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『イーダ』など、現在、世界的に評価される監督たちの初期作品が多く受賞している。
映画『リング・ワンダリング』は2022年2月、渋谷シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開。
漫画家を目指す草介は、絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく形にできず前に進めない。そんなある日、バイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探す不思議な娘・ミドリと出会う。転倒しケガをしたミドリを、彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた…。草介はミドリとその家族との出会いを通じて、その土地で過去に起きたことを知ることになる。東京・下町を舞台に、過去と現在が織り交ざる、切なく幻想的な物語。
監督:金子雅和
出演:笠松将、阿部純子、片岡礼子、品川徹、田中要次、安田顕、長谷川初範
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
Ⓒ2021 リング・ワンダリング製作委員会
2022年2月 渋谷シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
公式サイト ringwandering.com