レジェンド声優インタビュー 古谷徹[巨人の星編]
arranged by レジェンド声優プロジェクト
アニメ黄金期の立役者である「レジェンド声優」と、自らもレジェンドである声優・古川登志夫さん、平野文さんによる濃密トークをお送りするレジェンド声優インタビュー。今回は、『巨人の星』『機動戦士ガンダム』『聖闘士星矢』など、数々の男の子向けアニメでカッコいいヒーローを演じてきた古谷徹さんが登場! 最高の主人公を演じる秘訣を教えてもらいました。
原作の大ファンだった『巨人の星』に大抜擢
- 古川登志夫: (以下、古川)
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レジェンド声優インタビュー、今回は、この方を抜かしたらおかしい、不自然だろうとつねづね考えていた、古谷徹さんにお越しいただいています!
- 古谷徹: (以下、古谷)
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よろしくお願いいたします。
- 古川:
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僕はねえ、徹ちゃんのきわどい話をだいたい知っていますよ(笑)。
- 古谷:
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いやいや、それはお互いさまでしょ(笑)。今回はお手柔らかにおねがいしますね。
- 平野文: (以下、平野)
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私が今日、どうしても聞いておきたいのが『巨人の星』(1968年)の頃のお話。私が子供のころに、実際に見ていた作品がどのように作られていたのかを聞かせてほしいわ。当時まだ中学生だった同世代の人が、ブラウン管の向こうで活躍していることに、驚きと憧れを抱いていたんですよね。
- 古谷:
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当時の僕は児童劇団(劇団ひまわり)に所属していて、『巨人の星』の前に、『海賊王子』(1966年)という作品の主人公でアニメ声優デビューしているんです。それが中学1年生の頃かな。ちなみに『海賊王子』はあの永井一郎さん(『機動戦士ガンダム』ナレーションなど)が初めてアニメでレギュラーを持った作品でもあるんですよ。
- 平野:
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それが初めての声のお仕事に?
- 古谷:
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いや、その前から洋画の吹き替えなんかをちょこちょこやらせていただいていましたね。だから『巨人の星』の時にはまだ中学3年生ではあったものの、そこまで戸惑うということはなかったです。オーディションの時はちょっと興奮していましたけど。
- 平野:
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それは、さすがに最初は緊張したということ?
- 古谷:
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『巨人の星』の原作マンガは、アニメの2年前からスタートしていて、すでに大人気だったんですが、やっぱり僕も大ファンで(笑)。「飛雄馬かわいそうだ!」「飛雄馬がんばれ!」って泣きながら夢中になって読んでいましたから、その主役オーディションを受けることになった時は、これまで以上に力が入りました。
- 平野:
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オーディションに際して、憧れの飛雄馬をどう演じるかなどの役作りはどのように練り上げたの?
- 古谷:
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原作マンガのファンでしたから、もう、自分の中で、飛雄馬はこう喋るってのができあがっているんですよ。だから、それをそのまま出した感じです。ただ、そのオーディションは、野沢雅子さんら、業界の大先輩たちも受けていましたからね、正直、受かることはないだろうなと思っていました。
- 平野:
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でも飛雄馬の年齢に近いというのは、大きなアドバンテージじゃない?
- 古谷:
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登場時点の飛雄馬は小学生だったので、実際の自分より少し若いくらい。声優起用の方針として、子供の飛雄馬から大人の飛雄馬まで、1人の若手声優にやらせるというものがあったそうなので、確かにそこは有利に働いたのかも? 何にせよ合格の連絡もらった時は驚きましたし、うれしかったですね。