Apr 13, 2018

インタビュー

『巨人の星』『機動戦士ガンダム』『聖闘士星矢』・・・古谷徹に聞く最高の主人公を演じる秘訣

役に入り込むあまり涙で台本が見えなくなることも

 

平野

その後、『巨人の星』は、1968年から1971年の足かけ4年間、放送されたのよね? 当時の周囲の反応はどうだった? 「俺って注目されているな」とか、そういう自覚はあったの?

古谷

それはもう。放送始まってすぐにたくさんのファンレターをいただくようになりましたし、視聴率もうなぎ登りでしたから。最高視聴率が36.7%だったかな(1970年1月10日に放送された第94話『飛び立つ星』)。民放の全番組で最高視聴率を2か月以上更新し続けたとか、景気の良い話がぽんぽん飛び込んできていて、すごいことになっているなという自覚はありましたよ。

平野

出演されている声優陣も豪華でしたよね。加藤精三さん(星一徹役)、白石冬美さん(星明子役)、八奈見乗児さん(伴宙太役)、井上真樹夫さん(花形満役)……。どうでした? そうしたベテラン声優陣の中で、自分だけ中学生という環境は。

古谷

白石冬美さんは、その前の『海賊王子』でもご一緒していたので、すごくかわいがってもらいましたよ。でも加藤精三さんは超怖かった(笑)。

古川

普段から強面だもんね。スタジオのベンチの上にどっしり胡座なんかかいていたりして。

 

 

古谷

まさに星一徹そのものでしたよ。あの声で「まだ始まらないのか……」とかやられるもんだから、スタッフも震え上がっていましたね(笑)。

平野

そんな中でやるのは大変だったんじゃない?

古谷

『巨人の星』って人間ドラマじゃないですか。とても中学生が登場人物の気持ちを理解して演じきれるようなものじゃない。飛雄馬だって、最初は小学生でしたけど、約3年半の放送期間の間に、僕の年齢を飛雄馬が追い抜いていっちゃうんです。僕はまだ高校生なのに、彼はもうプロ野球選手ですからね。その途中で大恋愛もするし……(笑)。「役作り」なんて言える状況じゃないですよ。だから当時はもう、必死。演出家に言われたことをきちんと表現するので精一杯でした。

古川

うわあ、徹ちゃんレベルですら、そうなんだ。

古谷

録音監督の山崎あきらさんは、『巨人の星』を、舞台を作るようなイメージで作りあげようとしていて、最初のテストが終わると、わざわざ調整室からスタジオまでやってくるんです。そして、隣に座って「古谷君、このセリフはどんな気持ちを込めてしゃべったの?」「この心情を表現するにはどうやって演じればいいと思う?」って、細かく指導してくださるんですね。そうやって、すごくお芝居を掘り下げていく方でした。

古川

富野監督(『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督)にも通じるものがあるね。