ディズニー/ピクサーが誇る、大人気シリーズ第3弾『カーズ/クロスロード』。 擬人化した車たちによるCGアニメながら、リアルなレースシーンと大人にも沁みるエモーショナルなドラマが展開する今作で、カギとなるキャラクター〈クルーズ・ラミレス〉の日本版キャストを演じた松岡茉優さんに、吹き替えの苦労や、自らの挫折や再起などについて伺った。
──松岡さんが演じた〈クルーズ・ラミレス〉は、今作のメインキャラクターといっていいほどの大活躍をしますね。
最初にお話をいただいたときは、子どものときから好きだったディズニー/ピクサー作品に出させていただけるっていうだけで本当に嬉しくて、すごく光栄だったんですけれども、台本を開いてみたら、セリフの量が多くて驚きました。クルーズは、前向きな女の子なので、まくしたてるように話さないといけない場面も多く、難しかったです。やっぱり、普段は俳優なので、声優としての技術的な部分は足りないし、なかなか力が伴わなかったんですけど、クルーズっていう女の子を愛して、作品を愛して、精一杯演じました。
──いままでピクサー作品はご覧になってきましたか?
全部観てます。最近公開された作品だと『ファインディング・ドリー』が良かったですね。『ファインディング・ニモ』のときから、ドリーが好きだったので、彼女が主役というのがすごく嬉しかったです。もちろん『カーズ』も大好きなシリーズで、みんな車のキャラクターなので、表情といえば口元と目の動きがほとんどですが、考えていることが痛いくらいに伝わるし、表現力がすごいなって感じてました。今回はさらにリアルになっていて、収録のときに映像を一時停止すると、キャラクターが半目になってたりするんですよ。それって、実写でドラマや映画を観ているときによくなるようなことで、本当に人間と変わらないくらいの繊細な動きで、目元や口元が作られているんだなって思って感動しました。
──『カーズ/クロス・ロード』は、ストーリーも深みがあって、考えさせられます。
衝撃のクラッシュから始まって、あんなにカッコ良かったマックィーンがボロボロになっていく姿はショッキングではあるんですけれども、その後、クルーズと出会ったことでまた人生が変わっていくんですよね。私たちも、誰かと出会うことで人生が大きく変わっていくと思うので、そういった意味では、子どもたちが観たときにどう思うのかなっていうのも楽しみですし、大人の方がご覧になったときにいろいろなものを感じられる作品だと思います。
──クルーズと、松岡さんの共通点はありましたか?
クルーズは、マックィーンが言うことも聞かずに、自分がいいと思ったことに突き進んでしまうような女の子なんですけれども、私も「絶対にこっちのほうがいい!」って思ったら周りに何を言われてもなかなか変えられない性格ですね。周りがどう言おうと、絶対にこっちだって信じてしまうので、そういう性格は直していきたいなと思っております。
──クルーズはマックィーンのトレーナーであり、最新のカーテクノロジー知識が豊富なキャラクターでしたが、松岡さんも、この知識は負けないというのはありますか?
モーニング娘。の知識だけは負けないと思います! 私が好きになったのは2011年からなんですけれども、それからの新生モーニング娘。に関しての知識や愛情は負けないです。『カーズ/クロスロード』には、「ディズニー/ピクサー史上最大の衝撃」というキャッチフレーズがついてますけど、最近、モーニング娘。にカントリー・ガールズの子が加入するという新体制が発表されたことが私にとって史上最大の衝撃でした。本当にビックリしましたね。現メンバーの気持ちも気になりますし、どうなるかわからないですけど、新しい風が吹くことは確実なので、期待と不安がありますね。
──今作のサブタイトル「クロスロード」は、人生の岐路という意味で、マックィーンもクルーズも人生の岐路に立たされるという物語ですが、松岡さんにはそういった「クロスロード」はありましたか?
高校3年生のとき、大学に進学する友達もいれば、就職するコもいて、選択肢っていろいろあるんだなって思いました。私は子役からやらせてもらっていたので、学業とお仕事をずっと平行してやっていたんですけれども、このまま大学でまた4年間平行してやるのか、それとも学生は終えて俳優だけでやるのかというのはすごく悩みました。結局、進学はしなかったんですけど、どっちを選んだほうが良かったかはまだわからないですね。でも、いまはすべての時間をお仕事にまわせるので、その選択は間違っていなかったような気がしています。