Dec 17, 2017

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『帝国の逆襲』の精神を受け継いだ『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 本作の見どころを徹底解説!

 

シリーズファンの過剰なまでの期待とともに、ついに待望の公開となった『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。1977年に始まった一大シリーズの8作目であり、一応の完結をみせる次の9作目へ向けた衝撃の展開が予想されていた。前作は一瞬の登場だったルーク・スカイウォーカーが、どんな役割を果たすのか? ヒロインのレイと彼のドラマはどんな方向へ向かうのか? ネタバレは一切せずに、シリーズの過去作なども例に出し、本作の見どころを解説していきたい。

 

『フォースの覚醒』から続く最新作『最後のジェダイ』、シンプルな物語にある魅力

 

絶海の孤島にたどり着いたレイが、ようやく出会ったのは、ルーク・スカイウォーカーだった。マントを被り、隠者のようにたたずむその姿は、いったい何を意味するのか――。

これは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)のラストシーン。今回の『最後のジェダイ』は、この直後から物語がスタートする。というわけで『フォースの覚醒』の物語を簡単に振り返っておこう。

 

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)
Copyright 2015 Industrial Light & Magic, a division of Lucasfilm Entertainment Company Ltd., All Rights Reserved

 

帝国が崩壊して30年が過ぎたが、帝国軍の残党が“ファースト・オーダー”を組織し、銀河の支配を目論んでいた。目的を果たすには、最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを抹殺しなければならない。ルークの妹、レイアはレジスタンスを指揮し、ファースト・オーダーよりも先にルークの居場所を突き止めようとする。その頃、惑星ジャクーで孤独に暮らすレイは、ルークの居場所の地図を託されたドロイドのBB-8、ファースト・オーダーから脱走したストームトルーパーのフィンと出会い、レジスタンスの基地へ向かい……という物語が展開。最終的にBB-8とR2-D2のデータがひとつになり、ルークの居場所が発覚し、レイはその遠い惑星オクトーの孤島へ向かうのだった。

 

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)
(C)2016 & TM Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 

今回の『最後のジェダイ』は3部作の2作目であり、『フォースの覚醒』からの流れを最終話に橋渡しする役割がある。つまり“上手くまとめる”必要性に迫られず、大きな冒険も可能ということで、旧3部作の『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』に近いスタンスだ。シリーズファンの多くが最も好きだと話す『帝国の逆襲』の精神を受け継ぐように、今回も大胆かつ衝撃的な展開が用意されており、結果として作り手のその意図は作品の成功を導いたと言ってよさそう。

『フォースの覚醒』と比べると、描かれる物語はかなりシンプルだ。 ルークと出会ったレイが、彼をレジスタンスの元へ連れて行こうとしつつ、自分の内面にも向き合い、苦闘する。そしてレイアらレジスタンスが基地のように乗り込んだクルーザーが、ファースト・オーダーから攻撃を受ける。その攻撃を止めるべく、フィンと整備士のローズが、敵機の暗号を解読できる男を見つけようとする……と、概要はその程度である。経過する時間も1~2日という感覚なので、余計なことを考えずにシンプルに物語に入り込める。そこに『最後のジェダイ』の魅力がある。

 

 

ドラマチックに描かれる3者の葛藤と“希望”、シリーズ愛が貫かれた“ダブル・オマージュ”も

 

ライアン・ジョンソン監督は、オクトーでのルークとレイ、レジスタンスの防戦、カイロ・レンらファースト・オーダーの攻撃という、各ストーリーを絶妙なテンポとタイミングで切り替え、観る者をまったく飽きさせない。肝心な瞬間に別のシーンに切り替わり、前のシーンの結果が早く知りたくなる……というループの上手さは、もしかしてシリーズでも最高レベルかもしれない。

基本はレジスタンスvs.ファースト・オーダーという構図だが、物語のテーマとして核心をなすのは、フォースの光(ライトサイド)と闇(ダークサイド)の葛藤だろう。このテーマはシリーズの過去作でも必ず描かれてきたが、今回のレイ、カイロ・レン、ルークらの葛藤のドラマチック度は、シリーズ中でも屈指だと断言したい。この3者、それぞれの関係もかなりエモーショナルに描かれ、観る者の心を鷲掴みする。

 

 

そしてテーマとしてのもうひとつのキーワードは“希望”だ。これはシリーズの原点である『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のタイトルが頭をよぎる。『最後のジェダイ』には「彼が最後の希望」など、何度かセリフに希望という単語が登場する。実際に、わずかな希望に運命を託すエピソードがあちこちで展開し、強調され、その相乗効果で観客の胸をときめかすことになる。このあたりは『スター・ウォーズ』の原点をしっかり死守した結果と言えそうだ。シリーズのお約束であるセリフ「May the Force Be with You(フォースと共にあらんことを)」が使われるシーンも絶妙である。

そのほか、ミレニアム・ファルコンがギリギリの隙間を飛行して抜けていくなど、シリーズへのオマージュはあちこちにある。レイとルークの関係が、ルークがヨーダから修行を受ける関係を彷彿とさせ、舞台のひとつである石の惑星“クレイト”は氷の惑星“ホス”を思い出させ、さらにAT-ATが闊歩する戦闘など、『帝国の逆襲』へのオマージュが多い。もし鑑賞前に1本見返すなら『帝国の逆襲』をオススメしたい。過去の作品の重要人物がホログラムで登場する演出は『フォースの覚醒』でも観られたが、今回は特に効果的。誰が出てくるかは、観てのお楽しみである。

 

 

そうは言っても“オマージュ感”が濃くないのが、『最後のジェダイ』の特徴かもしれない。オマージュだと気づかなくて素直に楽しめる作りになっているので、シリーズ初心者を戸惑わせることもなさそう。むしろレイがオクトーの岸壁の上で海を眺めるカットが、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(58)のヒロインと同じ構図になっているなど、ジョージ・ルーカスが最初の作品でオマージュを与えた『隠し砦~』に、ダブル・オマージュを捧げるといった高等テクが使われていたりする。気づかないところで、シリーズ愛が貫かれているのだ。

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