Feb 25, 2017 news

YOSHIKIの目にも涙、X JAPANを支えるファンの力

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第41回

『WE ARE X』の完成披露ジャパンプレミアが2月23日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。 当日は、劇場前に、レッドカーペットならぬ、“紅(くれない)カーペット”が敷かれ、X JAPAN(YOSHIKI/ToshI/PATA/HEATH/SUGIZO)のメンバーのほか、X JAPANを愛する多くのゲストが登場した。

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本作は、日本が世界に誇るロックバンド「X JAPAN」の封印された歴史を紐解く、ハリウッドの製作によるドキュメンタリー作品で、「サンダンス映画祭」で最優秀編集賞を、「SXSW(サウスバイサウスウエスト)映画祭」のデザイン部門で観客賞を受賞するなど、これまでに世界20以上の映画祭に出品され、高い評価を獲得している。

しかし、映画製作に至るまでにはメンバーの、特にリーダーであるYOSHIKIの抱える大きな苦悩と葛藤があったようだ。

舞台挨拶の中で、YOSHIKIは「さっき僕らも、何でこんな映像があるんだろう? って話してたんです。おそらく、当時まだX(X JAPANの前身)の頃から、いつかドキュメンタリー映画をやろうと思って撮っていたんだと思います。Xの解散があって、メンバーのHIDEの死、ToshIの洗脳、X JAPANとしての再結成、海外進出、そして、TAIJIの死。色々なことがありすぎて、それを映像で振り返るなんてできないと思っていたし、実際に映像を観た時は、始まって5分で涙が出てしまって、辛くてもう観られなかったので、当時は僕の判断で無理だとお断りしていたんです。しかし、毎年毎年その話が持ち上がり、このドキュメンタリーはX JAPANの進行形であると、心に痛みを持っている人や、人生に対して挫折しそうな人に勇気を与えられる、人の命を救えるんじゃないかという話を聞かされて、ならば企画を進めてみましょうということになったんです」と、声を震わせ涙ながらにその経緯について明かしてくれた。

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さらに、「映像を観終わった後は立ち上がれなかったです。何が起こったのか? と消化しきれなかったというか、HIDEの死とかも全てが夢だったんじゃないかとも思いました。いつか現れるんじゃないかって。でも、映像で観ると本当だったんです・・・」と、再び目に涙を浮かべながら語っていたYOSHIKIの姿もあった。

Xは、1982年に当時まだ10代だったYOSHIKIとToshIを中心に結成。インディーズで絶大な人気を誇り、以降、YOSHIKI、ToshI、TAIJI、HIDE、PATAの5人がそろうと、1989年にアルバム「Blue Blood」で、ついにメジャーデビューを果たす。 その後、シングル曲「紅」「ENDLESS RAIN」「WEEKEND」「Silent Jealousy」「Standing Sex/Joker」「Say Anything」など、数々の名曲を世に送り出してきたが、1992年に某音楽番組にて、ToshIの口からTAIJIの脱退を発表。同年には、世界進出を果たすべく、アメリカのタイムワーナーと契約したことと、TAIJIに代わる新しいベーシストとしてHEATHが加入したことを発表すると、バンド名もXから『X JAPAN』へと改名した。

しかし、1997年に、音楽性や方向性の違いからToshIが脱退を宣言すると、X JAPANも解散を発表。このあたりからToshIの洗脳騒動もちらつき始めたが、翌1998年にさらなる悲劇が襲う。ギタリストHIDEの急死である。

当時のことについて、YOSHIKIは「HIDEが亡くなり壊れてしまって、ロスで精神科の治療を受けてました」と振り返っていた。

HIDEの葬儀には5万人以上のファンが押し寄せ、その死を悼んだ。

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そして、2007年にYOSHIKIとToshIが再び連絡を取り合うようになり、X JAPANが再結成されると、復活第1弾となった新曲「I.V.」が、映画『SAW4』のメインテーマソングとして起用された。 再出発を果たしたX JAPANは、6人目のメンバーとしてSUGIZOの加入を発表。いざワールド・ツアーへと向かうことになるのだが、2011年に再び悲劇が彼らを襲うこととなる。元メンバーのベーシストTAIJIの急死だ。同年に東日本大震災も発生しており、メンバーの精神的なダメージは計り知れないものがあったに違いない。

2017年現在、X JAPANのメンバーは、YOSHIKI(ドラム&ピアノ)、ToshI(ヴォーカル)、PATA(ギター)、HEATH(ベース)、SUGIZO(ギター&バイオリン)の5人で構成され、その人気は今なお世界中に拡散されている。

これだけ衝撃的で壮絶な出来事が立て続けに起こると、バンドというチームとしてはもちろん、一人の人間としても壊れてしまっても不思議ではないが、リーダーのYOSHIKIはこうメッセージを残している。

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僕たちがまだここにいるのは、ファンのおかげです。

映画『WE ARE X』(東宝映像事業部配給)

映画『WE ARE X』(東宝映像事業部配給)は、世界的ロックバンド「X JAPAN」の軌跡を、2014年10月に開催されたマディソン・スクエア・ガーデン公演の舞台裏なども交えて追った、アメリカ製ドキュメンタリー作品。

監督:スティーブン・キジャク
出演:YOSHIKI、ToshI、PATA、HEATH、SUGIZO、TAIJI、HIDE ほか

公式サイト http://wearexfilm.jp/

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。

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