Jun 10, 2025 news

劇作家アーノルド・ウェスカーによる戯曲「調理場」をもとに描かれる社会風刺エンターテインメント 映画『ラ・コシーナ/厨房』嵐の1日を予感させる本編映像公開

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第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映され、高い評価をうけたヒューマン・エンターテインメント、映画『ラ・コシーナ/厨房』。この度、本作より嵐の1日を予感させるハイテンションなシーンの予告映像が独占公開された。

舞台は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」。イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた1959年初演の戯曲「調理場」を原作に、舞台をニューヨークの観光客向けレストランに移し、先進的な街と、レストランで働きながらアメリカン・ドリームを求めて滞在する移民たちの対比が全編ほぼモノクロームでスタイリッシュに描かれていく。

この度公開されたのは本作の風刺のきいたシュールなシーン。「ザ・グリル」で働く同郷の料理人ペドロを頼ってこの店にやってきた少女エステラは、年齢を偽り料理人として働くための面接に臨んでいた。当初は怪訝な表情をしていたマネージャーは、ペドロの名前を聞いたとたん「親友だ、先に言えよ」と、とんとん拍子に採用の方向に。そこへ経理担当が現れ、前日の売上金のうち800ドルもの額がレジから消えてしまったと明かす。さらに、そこへ、オーナーから電話が入る。加えてドリンクマシン故障の報告、止まらない電話‥‥と、噴出する問題を前に慌て始めるマネージャー。無事採用になったらしいエステラが店内を案内してもらうためにオフィスを出ようとすると、彼女ではなく“本来”この時間に面接を受けるはずだった女性と鉢合わせをしてしまう‥‥。

本作ではこのレストランで多くの移民たちとアメリカ人がひしめき合いながら慌ただしく働く様子を社会の縮図と捉え、混沌とした群像劇が繰り広げられていく。公開された動画に登場する売上金“盗難”事件が物語の軸となっていくが、脚本も執筆したアロンソ・ルイスパラシオス監督によると、売上金が消えたこのエピソードは、監督が新たに加えた要素だという。

監督はその理由を「観客の興味を引きつけ、何かが起きそうだと期待させるための語りの仕掛けと言えるものです。そのことで、物語は本来描きたかった別の方向へと自由に展開していけるから。」と説明。さらに、「実際、厨房というのはこういうことが日常的に起きうる場所でもあるんです。誰かが金を盗んだという噂が立ち、すぐに“魔女狩り”が始まる。そして最初に疑われるのは、たいてい無認可の労働者たちです。彼らには失うものが大きいですから‥‥。」とこの事件の行方を示唆する。

主人公のペドロ(ラウル・ブリオネス)やルーニー・マーラ扮するジュリアが登場する前のこのシーンは、これから始まる厨房での嵐の1日を予感させる。料理人やウェイトレスたちのストレスがピークに達し、カオスと化した厨房での1日は、無事に終わるのか。

映画『ラ・コシーナ/厨房』は、2025年6月13日(金)より全国公開。

作品情報
映画『ラ・コシーナ/厨房』

ニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」の厨房の、いつも通り目の回るような忙しい朝。店の従業員たち全員に売上金盗難の疑いがかけられる。加えて次々に新しいトラブルが勃発し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークに。カオスと化した厨房での一日は、無事に終わるのだろうか。

監督・脚本:アロンソ・ルイスパラシオス 

原作:アーノルド・ウェスカー

出演:ラウル・ブリオネス、ルーニー・マーラ 

配給:SUNDAE

© COPYRIGHT ZONA CERO CINE 2023

2025年6月13日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開

公式サイト sundae-films.com/la-cocina