Jul 28, 2023 news

【先行】大友克洋「童夢」に影響を受けた映画『イノセンツ』監督が本作に込めた想い、作品制作のきっかけを語る

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世界の映画賞を総なめにしたサイキック・スリラー、映画『イノセンツ』。この度、本作の公開を記念して、北欧の新たなる鬼才エスキル・フォクト監督から、影響を受けたという漫画「童夢」を生んだ国・日本の映画ファンに向けてメッセージが送られ、あわせて「童夢」のオマージュについてや本作が生まれたきっかけ、キャラクター設定、インスピレーションを受けた漫画・アニメなどが語られたインタビューが先行公開された。

ノルウェーのアカデミー賞ともいえるアマンダ賞で、監督・撮影・音響・編集の4部門を受賞。ジャンル映画ながらそのクオリティの高さを、世界が認め絶賛した北欧サイキック・スリラー『イノセンツ』。

舞台はノルウェー郊外の住宅団地。夏休みに友達になった4人の子供たちは、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。近所の庭や遊び場で新しい力を試す中で、無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こりはじめる。

監督を務めたのは、ヨアキム・トリアー監督の右腕として『母の残像』『テルマ』『わたしは最悪。』の共同脚本を共に手がけ、アカデミー賞脚本賞にもノミネートされた、エスキル・フォクト。本作はフォクト監督の長編2作目、日本劇場初公開の監督作品となる。

団地を舞台に子どもがサイキック・バトルを繰り広げると言えば、大友克洋の「童夢」を想起する人も多いはずだが、まさにフォクト監督は「童夢」からインスピレーションを受けて本作を創り上げた。

大友克洋の漫画「童夢」にインスピレーションを受けたことについて、フォクト監督は「「童夢」との出会いのきっかけは大友克洋監督の映画「AKIRA」を観て、漫画を読んだことでした。彼が描いた他の漫画の英訳版がないか探して、「童夢」を見つけたのです。「童夢」を初めて読んだのは90年代。「AKIRA」は1本の映画にするにはあまりに壮大な物語ですが「童夢」は映画化するのにぴったりの作品だと思いました。

そこから何年も経って、ヨアキム・トリアー監督と2人で『テルマ』という超能力が登場するホラー映画を作ることになった時、若い時に感化された作品、スティーヴン・キングの小説などとあわせて「童夢」も読み返し、私が父親になったこともあって、昔よりもさらに大きな衝撃を受けたのです。

子供が危険な目に遭うというのもそうですが、大人にはわからない子供だけの秘密の世界があるというところが非常に独創的だと思いました。父親として日ごろ子供を愛しているけど、息子が見ている世界を理解できない自分を感じていたからだと思います。子供の世界には魔法があり、何でも可能なのです。自分の感情を言葉で表現できなくても、強い感情を抱えていて、それが毎秒変わる、大人とは全く違う世界です。そこから、大人にはわからない子供だけの世界で起こる物語を映画にしたらどうだろうかと思いました。

「童夢」は特に最後のクライマックス・シーンが素晴らしいので、本作でも参考にさせて頂きました。誰にも気づかれないだろうと思ったのですが、こうして日本公開が決まってしまったので、皆んなにバレてしまいますね。日本の皆さんが気に入ってくれることを願います。」と話した。