日本映画界屈指の鬼才・石井裕也監督の最新作、映画『本心』。この度、本作で“AIで再現された母”役を演じた田中裕子の圧巻の演技と存在について、主演の池松壮亮、監督 石井裕也が明かした。また、あわせて、貴重なメイキング写真があわせて公開された。
本作は、「ある男」などで知られる平野啓一郎の同名長編小説を原作にして描く、ヒューマンミステリー。“リアル”と“リアルではないもの”の境界が今よりもさらに曖昧になった世界を舞台に、亡くなった母の“本心”を知るため、AIに集約させ人格を形成する VF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用して彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の【心】と【本質】に迫る。
朔也の母・秋子を演じるのは、『ええじゃないか』『北斎漫画』でブルーリボン賞助演女優賞、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞をW受賞、近年は『千夜、一夜』『怪物』などに出演する、田中裕子。田中と共演した池松は、原作を読み終えた時から秋子役は田中しかいないと直感的に感じたという。
2人でつつましい生活を送っていた朔也と秋子。しかし、ある日突然「大事な話があるの」と言い残して母が急逝。その後、生前の母が自由死を選んでいたことを知り、幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか本心を探るため、朔也はVFを利用し仮想空間に母を蘇らせる。
そんな本作は、原作を読んだ池松が「今やるべき作品」と感じ、企画を持ち込んだ意欲作。池松は、人間とVFの“2 役”に挑戦した田中との共演について「念願でした。実は原作を読み終えた時、(秋子役は)田中裕子さんだ“と思ったんです。それは石井さんにも伝えました。僕はAIを演じたことはありませんし、日本映画において田中さんと綾野さんが最初になるのではないでしょうか」と振り返る。
“世の中の新しいシステムについて行けない”とも話していたという田中だが、石井監督と何度も対話を重ね、VFという未知の存在を見事に作り上げた。撮影について池松は「(VFの秋子との)とあるシーンで、田中さんが涙を流されたんです。衝撃的で今でもその光景がはっきりと残っています。様々なことを超越して演じられるその姿や全ての表情が心に深く焼き付いています。」と語る。
石井監督も「現場での田中さんは最高にやりやすくて、何度も驚かされました。『もうちょっと何かありますか?』というこちらのお願いに対して『何とかやってみようかな』と言いながら、期待を軽々と超えてくる“打てば打つだけ響く”すごい方でした。」と、その存在の大きさについて語った。
映画『本心』は、2024年11月8日(金)より全国ロードショー。
工場で働く青年・朔也は、同居する母から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ朔也は、途中に豪雨で氾濫する川べりに母が立っているのを目撃。助けようと飛び込むも重傷を負い、昏睡状態に陥ってしまう。目が覚めたとき母は亡くなっていて、生前“自由死”選択していたと聞かされる。また、ロボット化の波で勤務先は閉鎖。朔也は、唯一の家族を失くし、激変した世界に戸惑いながらも幼なじみの岸谷の紹介で「リアル・アバター」の仕事を始める。仮想空間上に任意の“人間”を作る「VF(ヴァーチャル・フィギュア)」という技術を知った朔也は、「母は何を伝えたかったのか?どうして死を望んでいたのか?」を解消したい気持ちから、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎に「母を作ってほしい」と依頼するが‥‥。
監督・脚本:石井裕也
原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク)
出演:池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2024 映画『本心』製作委員会
2024年11月8日(金) TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
公式サイト happinet-phantom.com/honshin