Aug 12, 2023 interview

池松壮亮インタビュー forget me not ーー忘れられていくことへのささやかな抵抗 ドラマ「季節のない街」

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ディズニープラス「スター」にて8月9日より全話一挙独占配信される「季節のない街」。山本周五郎の同名小説をドラマ化したもので、宮藤官九郎がキャリアで初めて企画としてクレジットされ、監督・脚本も務める。同小説は、1970年に黒澤明監督によって『どですかでん』というタイトルで映画化されており、海外で高い評価を得て第44回アカデミー賞で、外国語映画賞にノミネート。

『どですかでん』は戦後のスラム街を舞台に、電車バカの六ちゃんを取り巻く市井の人々を面白味を交え幻想的に描いた作品。一方、本ドラマ「季節のない街」は、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅を舞台に、現代の物語として人生を再生していく青春群像劇だ。

希望を失い、この街にやってきた主人公・半助に池松壮亮。池松と共演するメインキャストに仲野太賀、渡辺大知。他に、宮藤組常連の片桐はいり、荒川良々のほか、信頼の厚い濱田岳、藤井隆、そして宮藤作品初参加となる三浦透子、前田敦子、又吉直樹と豪華キャストが勢ぞろいした。

不朽の名作を個性的なキャスト陣で、いま、また物語を紡ぐ意味とその想いを、主演の池松壮亮に聞いた。

監督・宮藤官九郎の現場力

ーー本作「季節のない街」への出演の経緯と決め手を教えてください。

お話をいただいて、脚本を読んでみて、全く迷いはありませんでした。『どですかでん』は、自分にとっても大好きで特別な映画でしたし、それを宮藤さんが現代に置き換えてドラマをやるということにすごく興味が湧きました。

ーー宮藤官九郎さんの脚本を初めて読んだときの感想は?

とても面白くて“これは間違いないな”と思いました。映画『どですかでん』と山本周五郎、宮藤さんという異種のマッチングが見事に混ざり合い、素晴らしい調和を感じました。宮藤さんのやりたいことを、直ぐに理解することができました。

“この題材を今扱えるのは、宮藤さんしかいないんじゃないか”とすら思えました。この作品がディズニープラスで配信されることにもワクワクしました。

ーードラマは12年前に起きた“ナニ”の災害によって作られた仮設住宅の街が舞台です。宮藤さんご自身は宮城出身で、長年に渡っていろんな思いを保ちつつ、ずっと温めてきた企画なんだろうなと感じました。宮藤さんとはどんなお話をされましたか?

撮影中色んな話をしましたが、あまりこの物語の核になるようなことは話していないと思います。宮藤さんのやりたいことは十分に受け取っていたつもりでしたし、どれくらいイメージを膨らませていけるか、現場で飛躍させることができるかが勝負でした

沢山の舞台をやられてきたからなのか、登場人物が多い群像劇でも、シーンの段取りをして、一回見て一発で殆どの修正を言い当てるんです。どんな目をしてるんだろうと惚れ惚れしました。脚本は勿論のこと、監督としても俳優としても素晴らしいのは僕が言うまでもありませんが、現場力、演出力も素晴らしかったです。

ーー今回、宮藤さんは脚本だけでなく監督も担当されています。現場力というのは、監督としての魅力ということですか? 

現場を引っ張っていく力ですね。物語と共に、指揮官としてとても重要なことだと思います。スタッフやキャスト、誰もがこの物語にのめり込み、2ヶ月強を過ごすことができました。やりたいこと、目指すところが明確にあったということと、本当にこの物語が好きだということをひしひしと感じていました。

ーー邦画ドラマがさまざまな国で配信されることについて、どういう風に思われますか?

とても良いことだと思います。これまで鎖国的な態度を取り続けてきた日本の映像作品の多くも、少し世界に目が向きはじめています。作品として言語や文化を飛び越えることを、皆で考えるというのは、ものすごく重要なことだと思いますし、必要なことだと思っています。

山本周五郎、そして現代日本を代表する宮藤さん。それから世界が高く評価する黒澤明の『どですかでん』とディズニープラスが手を組むということは、それぞれのヒューマニズムの掛け算のようでワクワクしました。そのような作品に参加できたのはとても嬉しかったですし、とても光栄でした。