Jan 11, 2024 interview

岡山天音×仲野太賀インタビュー 言葉にできない何かを感じる『笑いのカイブツ』

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Web連載で熱狂的な支持を集め書籍化された“伝説のハガキ職人”ツチヤタカユキによる同名私小説を映画化した『笑いのカイブツ』が、全国で公開中だ。本作は、笑いに人生を捧げた実在の人物の痛いほどに純粋で激烈な半生を綴ったもの。主演は岡山天音。さらに仲野太賀、菅田将暉、松本穂香と第一線で活躍する名優たちが集結した。

何をするにも不器用、人間関係も不得意なツチヤタカユキは、毎日気が狂うほどにネタを考える日々を過ごしていた。念願叶ってお笑い劇場の小屋付き作家見習いになるも、愚直で常識から外れた行動をとるツチヤは周囲からは理解されず淘汰されてしまう。笑いを諦めきれなかった彼を救ったのは、ある芸人のラジオ番組。番組にネタを投稿するハガキ職人になると、次第に注目を集め「東京に来て一緒にお笑いやろう」と憧れの芸人からラジオを通して声がかかる‥‥。

今回、ツチヤタカユキを熱演した岡山天音さんと、ツチヤの憧れの芸人である西寺を演じた仲野太賀さんにインタビュー。10代の頃から親交のある2人が、情熱や実力だけでは上手くいかない現実にもがき苦しむ青年と、それを理解し助けようとする先輩という関係性のなか、本作とどう向き合ってきたかを伺った。

登場人物へのチューニング

ーー脚本を読んだときの感想やお気持ちをお聞かせください。

岡山 これから大変な時間が始まるなっていうことを覚悟しましたね。ツチヤを演じるっていうことは、この禍々しい渦の中に、これから身を投じるんだな、ということで、僕が脚本に書かれていることをどう表現するかによって、映画の印象や観ることで摂取できる栄養価の分量とかが変わってくるなと思いました。

たくさんある選択肢の中で、どうチューニングしていくかっていう話を監督と撮影に入る前に色々とさせていただきました。この作品に関して、その時間が本当に大切だったなと思っています。

仲野 ツチヤの狂おしいほどの笑いに対する情熱というか、執念というか。その様に圧倒されたっていうのが、最初の印象でしたね。一方で、このツチヤっていう役を天音が演じたらどうなるんだろう?と想像しながら、すごく楽しみに読んでいました。

ーー岡山さんが演じた主人公のツチヤタカユキは、仲野さん演じる西寺が出演するラジオ番組の伝説のハガキ職人で、西寺によって構成作家見習いに引き上げられ2人は出会います。きっかけとなったラジオですが、おふたりは聴いてますか?

岡山 聴きます。

仲野 聴きます、たまにですけど。

ーーおふたりがラジオを聴きはじめたのはいつ頃からですか?

仲野 割と最近ですね。

岡山 僕は、ライムスター宇多丸さんの「ウィークエンド・シャッフル」 (TBSラジオ) の映画批評コーナーをきっかけにラジオを聴くようになりました。「ザ・シネマハスラー」の頃から聴きはじめて、そこから芸人さんのラジオを色々と聴くようになりましたね。

ーーじゃあハガキ職人自体は、もちろん知っていたわけですね。

岡山 はい。僕、元々ツチヤさん知ってたんですよ。ラジオのエピソードトークに登場していたので。

仲野 へー、そうなんだ。

ーーでは、今回のオファーが来たときは、すでにツチヤタカユキを知っていたんですね。

岡山 そうですね。数あるエピソードトークを聴いているだけだったので、輪郭がはっきりしないというか、部分的に耳にしたことがあるってくらいでしたけど、この人知ってる!って感じではありました。

ーー岡山さんは原作者本人、仲野さんはモデルがいらっしゃる方を演じるわけですが、おふたりは、演じたキャラクターをどう捉えられましたか? 役作りについてお聞かせください。

岡山 原作はエッセイではなく小説と銘打たれているので、実在するとか、原作者自身とかというよりも、原作から受けたインスピレーションを広げていったという感じですね。

でも、初めから共感できるところがとてもある役でしたね。自分自身、この身体で生きていくことにおいて、かなり難しいモビルスーツをあてがわれた、みたいな感覚があるんです。

多分、ツチヤも同じように激しくもがいていて、その中で手に取ったのがお笑いだった。僕はお笑いではなかったですけど、芝居しかり、そういったものがあって。かなり近い何かを感じる役でした。

無様で格好悪いかもしれないけど、そうやって何とか生き延びている人の格好悪さが、格好良く見えたらいいなっていう思いもありましたね。

ーー仲野さんは、演じられた西寺について、どうアプローチしていきましたか?

仲野 モデルがいることは、最初から聞いてはいたんです。でもそこにとらわれず、西寺という役として、ツチヤと向き合っていけたら成立するんじゃないかな、と思っていました。

ツチヤがとても不器用に悶えながらも、自分の生きる希望を見つけていく中で西寺と出会うので、西寺はツチヤにとって唯一救いであり、憧れでもある。包容力じゃないですけど、ツチヤを包み込めるようなものが西寺にあるといいな、と思いながら演じていました。