『ジョンベネ殺害事件の謎』(2017)で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンが、2017年、ハリウッドを発端に巻き起こった“#MeToo運動”を題材に、今日の職場における問題を掘り下げた、映画『アシスタント』の予告映像、ポスターが公開された。
名門大学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日。常態化しているハラスメントの積み重ね‥‥。ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、立ち上がることを決意するが‥‥。
この度公開された予告映像は“夢の仕事についたはずだった”ジェーンのある1日を切り取ったもの。名門大学を出たにもかかわらず、クリエイティブな仕事は一切やらせてもらえず、仕事といえば、誰でもできるような雑用ばかり。「下っ端だから」「女性だから」と目に見えない差別による役割分担とルーティンに追われ、次第に自尊心を奪われ無力感を覚えていくジェーン。そんな中、会社のトップの不正を確信したジェーンは「会長が新人アシスタントのホテルに‥‥」と性的搾取の可能性を人事部へ訴えかけるのだが‥‥。
シャンタル・アケルマン『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(1975)にインスパイアされた本作は、ほぼセリフなしで構成されている。1人の女性の感情の揺れを、淡々と働くアクションと微妙な表情の変化だけで見せるジュリア・ガーナーの演技にも注目したい。
さらに「わたしは どうする?」とキャッチコピーが添えられたポスターは、入社5ヶ月目でまだ職場に自分の居場所がないジェーンの戸惑いを捉えたもの。一体何が自分の夢だったのか、何が正しいのか、そして何がやるべきことなのか。ハラスメント体質が根深く浸透した会社で、日々傷ついていく心を殺して機械のように業務を遂行するものの、完全には組織に染まりきれないジェーンの、複雑な表情が表現されている。
24時間のあいだ、まるで透明な存在のようにさまざまな暴力の矛先になるジェーン。自分の意見はほとんど述べず、寡黙に状況を見つめる彼女の目を通じて、観客は自分が同じ立場ならどうするかを考えさせられる。
映画『アシスタント』は2023年6月16日(金)より、全国順次公開。
名⾨⼤学を卒業したばかりのジェーンは、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の⼤物である会⻑のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺⾵景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎⽇。常態化しているハラスメントの積み重ね‥‥。しかし、彼⼥は⾃分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来⼤きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。ある⽇、会⻑の許されない⾏為を知ったジェーンは、この問題に⽴ち上がることを決意するが‥‥。
監督・脚本・製作・共同編集:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー、マシュー・マクファディン、マッケンジー・リー
配給・宣伝:サンリスフィルム
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2023年6月16日(金) 新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
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