Aug 21, 2021 interview

第74回カンヌ国際映画祭 全4冠受賞作 映画『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督が語る、編集や予告、映画作りの視点について

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秘密を持つ妻との関係が突然途絶えた夫。喪失感を抱えたまま、彼は愛車とともに広島で演劇活動に打ち込む。未知の土地で出会った人々と、彼の車を黙々と運転する寡黙なドライバー。やがて彼らが見つけ出す再生とは――。

村上春樹の同名原作をもとに、『ハッピアワー』『寝ても覚めても』などで世界が注目した俊英・濱口竜介監督の最新作となる『ドライブ・マイ・カー』は、第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初の脚本賞をはじめ全4冠を受賞した本年度を代表する傑作。西島秀俊、岡田将生がこれまで見せたことのない演技を見せ、三浦透子、霧島れいかに圧倒される179分は、屈指の映画体験となるはず。予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』。今回は濱口竜介監督から、コロナによって撮影が中断する中で完成にこぎつけたお話から、この極上の3時間がどのように編集されていったのか、そしてバカ・ザ・バッカが手がけた本作の予告編の感想もうかがいました。

第74回カンヌ国際映画祭 全4冠受賞作 映画『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督が語る、編集や予告、映画作りの視点について

キャラクターとの関係が、映画の適正な上映時間になる

池ノ辺 『ドライブ・マイ・カー』、カンヌ国際映画祭で脚本賞をはじめ4冠受賞となりました。おめでとうございます! 受賞後は日本での反応も凄かったんじゃありませんか?

濱口 帰国後2週間の隔離があったので、そんなにヴィヴィッドに反応がわかっているわけではないんですけれど、こういうインタビューを受けて実感するようになってきています。

第74回カンヌ国際映画祭 全4冠受賞作 映画『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督が語る、編集や予告、映画作りの視点について

池ノ辺 今回、弊社のスタッフが『ドライブ・マイ・カー』の予告編を作らせていただいたんですが、こうやって受賞が決まると「第74回カンヌ国際映画祭  脚本賞受賞」とかキラキラしたものを予告編の頭に付けるんですよ。だから今回も、すぐ作んなきゃって大騒ぎしながら作ったんです。監督、予告編を見ていただけましたか?

濱口 もちろん見ました。とても良い形にしていただいてありがとうございます。

池ノ辺 最初に試写で見せていただいたときは、尺が3時間あるって聞いたので、長くないかしらって思ったんですけど、全然そんなことなくて、とても素晴らしい作品でした。監督の作品は、前作の『寝ても覚めても』は2時間でしたね。その前の『ハッピアワー』は5時間以上あったりして、毎回次作の上映時間はどうなるんだろうと思っていたんですが、今回の3時間というのは、どうやって決まったんですか?

濱口 映画作品を商品と思えば、90分、120分というのが適正尺となるのかもしれませんが、自分が作っている体感としては、キャラクターの関係性が納得のいく形で、ある変化を迎えるのを眺めていく時間が上映時間になると思っています。

池ノ辺 だから作品ごとに、2時間のものもあれば、3時間や5時間の作品もあるということですね。

濱口 その作品ごとのキャラクターとの関係が、自分で作る上での適正な尺になっていると思います。

池ノ辺 プロデューサー側から、「もうちょっと短くなりませんか?」とか言われませんか?

濱口 今回の作品は、製作幹事でもあるビターズ・エンドの定井(勇二 )さんに代表して見ていただいて、その時点でほぼ3時間ということが確定したというか、これで行きましょうという話になりました。これは凄いことだと思います。

池ノ辺 だけど見終わっても、3時間あったとは思えなかったですね。みなさんそう仰ると思いますが。

濱口 いやあ、もっと言ってください(笑)。

第74回カンヌ国際映画祭 全4冠受賞作 映画『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督が語る、編集や予告、映画作りの視点について