沖縄のコザを舞台に、幼い息子と夫と3人で暮らす17歳のアオイが社会の過酷な現実に直面する姿を描く、映画『遠いところ』。世界各国の映画祭で称賛され、海外メディアからも「巨匠ケン・ローチに対する日本のアンサーのよう」、「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇」と高い評価を得た本作の、予告映像が公開された。
主人公アオイを演じるのは、『すずめの戸締り』への出演が話題を呼び、本作が映画初主演となる花瀬琴音。東京出身の花瀬は、撮影の1ヶ月前から現地で生活し、沖縄で生まれ育った若者、アオイを演じた。アオイの友人、海音には映画初出演となる石田夢実、夫のマサヤには『衝動』(2021)の佐久間祥朗が起用され、2人も花瀬と同様に撮影1ヶ月前から現地に入り、沖縄・コザで実際に生活した経験を活かしてリアルな演技を見せた。
監督は、長編デビュー作『アイムクレイジー』(2019)で、第22回富川国際ファンタスティック映画祭 NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝いた工藤将亮。長編3作目にしてオリジナル作品となる本作は、4年に渡り沖縄で取材を重ね、脚本を執筆。全編沖縄での撮影を敢行した。
本作は、日本公開に先立ち、第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で最高賞を競うコンペティション部門に日本映画として10年ぶりに正式出品されると、約8分間のスタンディング・オベーションを受けた。そのほかにも、第23回東京フィルメックス「コンペティション部門 観客賞」を受賞、第44回カイロ国際映画祭「インターナショナル・パノラマ部門」に正式出品されるなど、世界各国の映画祭で高く評価されている。
沖縄の局地的な問題というだけでなく、日本のどこでも今まさに起こっている、次世代に残してはいけない問題を描く本作に注目が集まる。
映画『遠いところ』は、6月9日(金)より沖縄先行公開。7月7日(金)より全国順次ロードショー。
沖縄県・コザ。17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子の健吾と3人暮らし。おばぁに健吾を預け、生活のため友達の海音と朝までキャバクラで働くアオイだったが、建築現場で働いていた夫のマサヤは不満を漏らし仕事を辞め、アオイの収入だけの生活は益々苦しくなっていく。マサヤは新たな仕事を探そうともせず、いつしかアオイへ暴力を振るうようになっていた。そんな中、キャバクラにガサ入れが入り、アオイは店で働けなくなる。悪いことは重なり、マサヤが僅かな貯金を持ち出し、姿を消してしまう。仕方なく義母の由紀恵の家で暮らし始め、昼間の仕事を探すアオイだったがうまくいかず、さらにマサヤが暴力事件を起こし逮捕されたと連絡が入り、多額の被害者への示談金が必要になる。切羽詰まったアオイは、キャバクラの店長からある仕事の誘いを受ける‥‥.
監督・脚本:工藤将亮
出演:花瀬琴音、石田夢実、佐久間祥朗、長谷川月起、松岡依都美
配給:ラビットハウス
2023年6月9日(金)沖縄先行公開/7月7日(金)全国順次ロードショー
公式サイト afarshore.jp