Jun 28, 2019 mekiki

フランスの新鋭ミカエル・アース、 繊細さの秘密は“女性の視点”だった

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アース映画にとって“音楽”の持つ意味とは?

「彼らは、私が頭の中で描いていた音楽性を持っていた」とアースはキャスティングのポイントを語る。そう、彼にとって“音楽”は大きな意味をもつ。

「そうですね、音楽は私にとってなによりも身近で大切なものです。私は、映画がなくても生きていけますが、音楽がないと生きていけないと思います。私にとって音楽で大切なのは、メロディです。ロックを中心にどんなジャンルも聞きますが、もし一番重要なミュージシャンは誰かと聞かれれば、ビートルズですね。ビートルズのメロディ・ラインは完璧です。

私は、映画にも音楽的なリズムやトーンが必要だと思っています。いつもものを書く時も音楽を聞いています。今も次作の脚本を書いているのですが、ダスティン・オハロラン(※ソフィア・コッポラの『マリーアントワネット』などの映画音楽も手がける)のピアノ・ソロのアルバムを聞いていますね。『アマンダと僕』の脚本を書いている時は……奇妙なことに何も聞いていなかったですね」

ミカエル・アースの“奇跡的”なところは、悲劇や不幸が物語の核にありながらも、その作風は決して暗くなく、むしろ観てから数日立つと、まるで美しい恋愛映画だったかのような、きらめきと清涼感が残ること。

『アマンダと僕』の日本公開をきっかけに、未公開だった前作の『サマーフィーリング』の公開も決定したが、こちらも夏を舞台にした喪失の物語である。

ベルリン、30歳のサシャは急死し、あとには恋人のローレンスとフランスに住む妹のゾエが残された。ベルリン、パリ、そしてNY。3度の夏を通して描かれる愛する者を失った喪失からの再生。青を貴重にした映像、きらめくような夏の太陽と風。『アマンダと僕』と共通のテーマを扱った、美しく詩情溢れる作品だ。

「まず夏というのは、実用的な面があります。光があるのでライトを足さなくていい、スタッフも機材も少なくてすみます。私自身、軽いやり方で早く撮ることが好きなので、そういう面でも夏は向いていますね。同時にテーマが重く、哀しいものであったとき、夏という季節がそれにメタファーをもたらしてくれる。同時に、青い空、強い夏の空の下は、余計に悲しみを強調します。青はいちばん好きな色です。夏の色でもあります。フィルムで撮ったときにも一番美しく映える色です。青の中には、輝きもあれば、哀しみを強調するような、すべてがあるのです」

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