May 18, 2017 interview

石井裕也監督&石橋静河、希望の見えない時代をどう生きるか?日本映画界注目の2人が語り合う

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女優・石橋静河にとっての武器と池松壮亮の信頼感

 

──詩集を映画化するというのも挑戦だったと思いますが、石橋静河初主演作ということで主演女優からどう魅力を引き出すかも石井監督の課題だったわけですよね?

石井 当然そうです。どの作品でも俳優の魅力を引き出すことは常に意識しています。石橋さんの魅力? う〜ん、あえて言葉にすると“鈍感力”かな。もちろん石橋さんはナイーブな面を持っているんですが、普通の人だと何か問題が起きたり、傷つくと、心が折れて立ち直れなくなるものなんです。石橋さんも撮影中は心が折れることが何度もあったと思うけど、いい意味での“鈍感力”で乗り切ってみせた。ヘコたれてもヘコたれても、常にファイティングポーズのまま最後まで立ち続けた。それって、なかなかできることじゃない。今、21歳だっけ?

 

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石橋 22歳になりました。

石井 その年齢で逃げ出さずに、最後まで立ち続けてみせた。それは女優として大きな魅力だし、石橋さんにとっての最大の武器だと僕は思うよ。

石橋 それって監督から認めてもらったと思っていいんでしょうか(笑)。
私はただ負けたくないなということでやっていました。本当に撮影が始まって最初の数日間は何もできず、現場でペチャンコになって家に帰って、「今日こそは!」と思いながら現場に行って、またペチャンコになり続けました。本当に落ち込みましたけど、映画ってチームワークでつくるものだし、私がひとりで落ち込んでも、肩に力を入れてもダメなんだなと気づくことができたんです。それからは自分のことだけを考えず、肩の力を少し抜いて現場に立つことができるようになりましたね。

 

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石井 肩の力が抜けたのは僕にも分かった。撮影現場ではまた違う問題が起き、それに対処しなくちゃいけなかったわけだけど、それは石橋さんが女優として成長しているということ。現場ではずっと緊張のし通しだったよね。でも、たまにチラッと晴れやかな表情があった。

──美香が路上でクルクルと踊るシーンは印象的でした。

石井 でも、あのシーンのときがいちばん辛かったんだよね?

石橋 はい、死にそうになっていました(笑)。

石井 そんな辛い状況なのに、「とにかく、笑って」と僕は言った。「今すぐ死にたい」気分の石橋さんに「笑え」と。それで、あのシーンはいい表情が撮れたんだと思うよ(笑)。

 

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──慎二(池松壮亮)と一緒に夜空に浮かぶ月を見上げるシーンも素敵でした。

石井 あの頃はもう後半の撮影だったから、かなりリラックスして演じられるようになったんじゃない?

石橋 そうですね、少しだけ(笑)。でも、どのシーンも何度も撮り直すわけで、テイクを重ねていくと分からなくなってしまっていましたね。

石井 雨が降ったこともあって、撮影が中断して、感情をキープし続けるのも難しかったはず。石橋さんにとっては、ずっと緊張が続いた現場だったと思うけど、それがうまく映像にも現われていて、美香の頑なキャラクターにも重なっていたんだと思うよ。

石橋 池松さんの存在も大きかったですね。池松さんは最初にお会いしたときから、私のことを信用していてくれたというか、「一緒に闘うぞ」という姿勢でいてくれたんです。そのことにはすごく救われました。池松さんが何か優しい言葉を掛けてくれるとかではなく、一緒にいてくれることで「私も闘うぞ」という気分になれたんです。そのことが嬉しかったですね。

 

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