May 18, 2017

インタビュー

石井裕也監督&石橋静河、希望の見えない時代をどう生きるか?日本映画界注目の2人が語り合う

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都会で自由に生きる若者たちの自由がゆえの孤独さに寄り添うような映画、それが石井裕也監督の最新作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』。

これまでにも『川の底からこんにちは』(09年)や『舟を編む』(13年)などのヒット作を放ってきた石井裕也監督だが、最果タヒの同名詩集を原作にした本作は“第二のデビュー作”と呼びたくなるほどの初々しさに満ちている。東京の夜景が印象的に映し出される本作に、フレッシュな魅力をもたらしているのが新人女優・石橋静河。池松壮亮と共に、先行きの見えない現代社会で真摯に生きる若者像を等身大で演じてみせた。1983年生まれの石井裕也監督、1994年生まれの石橋静河の目には今の東京はどのように映っているのか。日本映画界注目の2人のトークに、耳を傾けたい!

 

──石井裕也監督が脚本・演出を手掛けた深夜ドラマ『おかしの家』(2015年、TBS系)の主人公は正業に就けずにいる自分自身の問題と混迷する世界情勢の狭間で悩みながら暮らしていましたが、本作の主人公たちにも通じるものがありますね。

石井 それはあるでしょうね。『おかしの家』はオリジナル脚本でしたし、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』は最果タヒさんの詩集が原作とはいえ、ストーリーやキャラクターは僕が考えたものなので、僕自身が感じていた問題意識が出やすかったんだと思います。特に今回は自分の感覚や感性が試されるものだったので、自分の中にあるものを意識的に選んでいくことで出来た作品なんです。

──現代詩が原作ということで、映画化にあたっての難しさはありませんでしたか?

石井 プロデューサーから最初に最果タヒさんの詩集を渡され、「これを映画化したい」と言われたんです。僕と同世代である最果タヒさんの詩集は、都市で暮らす若者たちの言葉にならない気分に触れているものだと僕は感じたので、自ずと東京を舞台にしたドラマが頭に浮かびました。詩が原作なので、余白があるわけです。その余白を自分が持っているもので埋めていけばいいのかなと。リスクは高いけど、面白い試みだと思えたんです。

 

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石橋 私も石井監督にお会いする前に、最果さんの詩集を読みました。すごく新鮮な言葉が散りばめられ、面白いなと感じました。意味はよく分からないんですが、感覚としてとても共感できるものがありましたね。私が演じた美香についての直接的な手掛かりが詩の中にあったわけではありませんが、そもそも私は女優としての経験があまりなく、台本を読むことにも慣れていなかったので、詩が原作だからというより、全てが挑戦で必死でしたね(笑)。

──本作の主演に抜擢された石橋さんですが、2人のファーストコンタクトについて教えてください。

石井 いちばん最初は喫茶店だったよね。半地下のお店。

石橋 原宿のお店でしたね。

石井 プロデューサーに紹介されただけで、そのときはほとんど言葉も交わさなかった。ただ、石橋さんはピンッと背筋を伸ばした女性だなという印象だった(笑)。

石橋 石井監督、ほとんどしゃべらないので「怖い監督だ」と思いました(笑)。

石井 プロデューサーとマネージャーさんがしゃべっているだけだったよね。でも、その後2回くらい会って、今回の美香役に決まった。それから撮影が始まるまでは、けっこう話し合った。個人的にも話したし、池松壮亮くんやみんなも交えて話し合った。池松くんと僕と一緒にガールズバーにも行ったし(笑)。

 

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──主人公の美香は昼は看護士として働き、夜はガールズバーでアルバイトしているんですよね。役づくりの参考になりました?

石井 僕があれこれ役の説明をしても面白くない。実際にお店の雰囲気に触れたほうがいいかなと。役づくりのヒントにはなったんじゃないかな。

石橋 ガールズバーは初めてでした。撮影しながら感じたことですが、美香は昼は病院で働き、夜はガールズバーに通っているんですが、多分彼女はどちらにいてもハミ出しちゃう女の子で、どこにも落ち着ける場所を見つけられずにいるんだろうなと思いました。

石井 女性がひとりで生きていくためには、“女”の部分を売らなくちゃいけないことが少なからずあると僕は思う。OLであってもそうだと思うし。美香は夜はガールズバーで働いているけど、昼は病院で多くの生き死にを目の当たりにしている。そういう相反する世界に美香を置いてみたかった。まぁ、そう言いながらもガールズバーにけっこうハマってしまって、石橋さん、池松くんと行った以外にも、プロデューサーと何度か足を運んだけどね(笑)。

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