Aug 08, 2024 interview

マルコ・ベロッキオ監督インタビュー「テーマが同じでも、視点を変える映画作り」の真髄『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』

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史実とフィクションを映画的に創造する

――映画の冒頭、モーロが「赤い旅団」から解放されて病院へ収容されたところから始まります。われわれが知る歴史とは全く異なる世界から始まるだけに、これから何が描かれるのだろうと興奮しました。

史実としては、彼は殺害されたわけですが、彼の死後に発見された5つの手紙をもとにオープニングを作っています。その手紙の中で彼は「赤い旅団」に感謝しているんです。解放してくれたことを感謝すると。この手紙は、監禁されていた間に、もしかしたら、「赤い旅団」がそう告げたから書いたのかもしれないし、彼自身が解放の日が来るのを感じ取って書いた手紙かもしれない。事実としては、その反対のことが起こったわけですが。脚本家と脚本を練っている段階で、この手紙を映画的な創造のスタート地点にしようと思ったわけです。

――『夜よ、こんにちは』もそうでしたが、『夜の外側』も現実と虚構の配分が絶妙です。

一瞬、「史実が曲げられている」とか、「真実が曲げられているんじゃないか?」という事実に対する裏切りが冒頭であるわけですね。そこから始まって、悲劇に向かってドラマが進行していくわけです。