共演者について
ーー『愛がなんだ』でもご一緒された若葉竜也さんと再び共演です。現場ではどんな話をされたんですか?
私たちが演じる夫婦2人はほぼ受け手だから、ナチュラルに繊細な空気感でやっていきたいね、とは話していました。言い回しも極力セリフっぽくならないように、観ている方にとって聞きなじみのある言い回しを意識しました。
なので台本では違う言い回しだったんですが、若葉くんのセリフでいうと「電子タバコありますか?」が「IQOSありますか?」と少し変更になっていたり、観ている方が、より日常的に感じられるような言葉になるよう監督と相談しながら作っていきました。
ーー個人的に田口トモロヲさん、杉田かおるさんの役柄が怖かったです。この2人に対峙された深川さんはどう感じましたか?
本当におふたりがそろうと独特の怖さがありましたね。村のみんなに信頼されていて、絶対的な権力を持っているんだろうなっていうのが、すぐに伝わる。
トモロヲさんが演じた田久保さんも杉田さんが演じたよし子さんも、私たち夫婦に良かれと思ってお世話を焼いてくださるので、見方を変えたらすごく優しい近所の方なんです。だけど、私が演じた杏奈にとっては、「笑顔の裏に何か隠されてるんじゃないか?」「グイグイ詰め寄られるのがちょっと怖い」って思うんですよね。
一緒にお芝居をしていても想像の範疇を超えてくるというか、トモロヲさんのセリフの言い回しも「こういう風に言うんだ!」という驚きがいっぱいありました。
性別は違いますけど、もし自分が演じるとなったら、その引き出しは自分にはなかったなっていうものがいっぱい飛び出してきて‥‥。緊迫感があるシーンも多かったんですけど、とても刺激を受けました。
ーーそういった面で印象に残っているシーンはどこですか?
やっぱり杏奈が田久保さんに詰め寄られるシーンですかね。「いじめんでおくれん」って田久保さんが言うんですけど、どんな表情で、どこを立てて、どういうふうに言葉を発するかって、いろんなアプローチがあって、演じる人によってイメージが全然変わると思うんです。
その塩梅がすごくて。誠実で優しそうなんだけど、怒ったら何をされるかわからないっていう怖さを、トモロヲさんが絶妙に醸し出していて、それがすごく素敵でした。
ーー観客はスクリーンで観るからまだしも、深川さんは目の前で見ているから余計怖いですよね。
(笑)。でもトモロヲさんご本人は優しい方でした。