Mar 21, 2024 interview

若葉竜也インタビュー 生物としての人間を表現したかった『ペナルティループ』

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若葉竜也演じる主人公が何度も復讐を繰り返す。けれどある時を境に変化が起こるという人間の不可思議な真実の姿を浮き彫りにする映画『ペナルティループ』。本作は『人数の町』(2020)の荒木伸二監督によるオリジナル脚本であり、主要人物も彼に何度も殺される男として伊勢谷友介、主人公の恋人役に山下リオというタイムループものならではの細かな演技の変化も楽しみどころ。人の内面を露見させていく映画を若葉竜也さんはどう読み解いていったのか。最近の自身の変化についてもお話を伺います。

――荒木伸二監督からオファーを頂いたのはいつ頃でどんな印象でしたか。

2年ぐらい前です。「どんな人だろう?」と、僕も荒木監督の前作『人数の町』を観ていたので興味があったんです。それで「会ってみましょうか?」という話になり、お会いしました。“変な人”って思いましたね(笑)。荒木監督って独特ですよね。内包された狂気を感じました。

――脚本の段階から色々と話し合って、改訂されていかれたのですか。

そうですね。脚本の段階から打ち合わせをしました。5回、6回ぐらいは脚本会議をしましたね。「足し算にしないようにしたい」とはお伝えしていました。この作品はドンドン足せるので、足していった結果、ただのエンタメ作品みたいにはしたくないと思っていたんです。核の部分だけを残したいという話をしました。

――この映画を観た時に復讐ものかと思いきや、もしかしたらひとりよがりの男の話なのではないかという印象を持ちました。ちゃんと恋人とも向き合ってなくて、人ともちゃんと向き合っていない男の話なのではないかと中盤ぐらいから思い始めたんです。

僕は映画タイトルを別に意識していなかったんですけど、先日「【ペナルティ】という言葉の位置づけとしては、主人公【岩森淳】に対する【ペナルティ】なのではないかと僕は思いました」とおっしゃったライターさんがいらしたんです。それを聞いて「面白いな、なるほどな」と。素敵な解釈だと思いましたね。

――冒頭の恋人との幸せな朝のシーンから一気に色のトーンが変わりますよね。その表情を観て“【岩森】さんって何者?”と思いました。あのシーンだけで恋人との関係性に疑問を持ちました。どんな意識を持って【岩森淳】というキャラクターを作り上げていったのですか。

意外と【岩森】の人間性とか、性格を僕は考えてなかったです。それよりも僕がこの映画で“やりたい”と思ったことは生物としての人間というものです。例えば【岩森】が伊勢谷(友介)さん演じる【溝口(登)】を殺す時に1発で良いところを何発も銃弾を放つんです。あれがこの映画の面白いところだと僕は思っていて、子どもが残虐に虫を殺したりしますよね。あれって元々、人間が持って生まれた本来の姿のような気がしているんです。

それが年齢や月日を過ごしてしくうちに社会性によって抑圧されていった姿であって、本来の人間はここまで凶暴にも残虐にもなることが出来る。【岩森】が穏やかに過ごしている日常では、てんとう虫を逃がしてあげる姿は、実は作り上げられた【岩森】の社会性であって、本来【岩森】が持っている凶暴性みたいなものは、人間誰もが変わらず持っているものだというところに辿り着ければいいなと思っていました。だから【岩森】の人物造形やキャラクターは意識していないんです。むしろ空っぽなんですよね。

――だから怖く感じるのですね。私は映画を観ているうちにSNSを感じていました。

それ、荒木監督も言っていました。最後の台詞は世界に対しての問いだ、と。

――SNSって目に見えない暴力というか、SNSでなら「やっていい」と勝手に人が思い込んでいる印象がありますよね。それを映画でアプローチをしているのか、荒木監督は、と思いました。

はい。