妻夫木聡や長澤まさみ、染谷将太、鈴木保奈美、浅野忠信、三浦友和、そしてトニー・ジャーらアジアの豪華キャストが出演する映画『唐人街探偵 東京MISSION』が、7月9日(金)に公開を控え、いよいよ話題も最高潮に達している。本作は、中国旧正月初日に公開され、初日に約10.1億元(約164億円)の興行収入を記録!歴代1位の『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)を抜き、全世界オープニング週末興行収入No.1の新記録を樹立した歴史的・超ヒット作だ。
物語の舞台は東京。国際的に事件を解決してきたチャイナタウンの探偵コンビ、タン・レン(ワン・バオチャン)とチン・フォン(リウ・ハオラン)が、日本の探偵・野田昊(のだひろし) (妻夫木聡)、タイの探偵で元刑事のジャック・ジャー(トニー・ジャー)と共に協力し、難事件の真相究明に挑む。本作でのミッションは、東南アジアのマフィアの会長の密室殺人事件で、犯人として起訴されたヤクザの組長・渡辺勝(三浦友和)の冤罪証明だ。
殺された会長の秘書である小林杏奈(長澤まさみ)も事件解決のため探偵たちに協力するが、小林が何者かに誘拐される事件が発生!そこに事件解決率100%を誇るエリート警視正・田中直己(浅野忠信)、謎の指名手配犯・村田昭(染谷将太)も絡み、事件は更なる混迷を極めていく―。
この度、本作の日本緊急上陸を記念し、名探偵・野田昊役で世界的な豪華キャストと共演した妻夫木聡の魅力を語りつくす座談会を実施!映画パーソナリティの伊藤さとり、奥浜レイラ、そして映画ライターのSYOが参加し、プロの視点から“ブッキー愛”をたっぷりトークした。
◆出演者
伊藤さとり(映画パーソナリティ)
幼少期からの映画好きが生じて23歳で映画番組を立ち上げ、TVや雑誌で映画紹介を。来日イベント、映画イベントが日本で増えると共に成長した心理カウンセラーの資格も持つ人好き。
奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
1984年 神奈川県出身。情報番組のレポーターを経て、映画のプレミアなど舞台挨拶、トークイベントの司会やテレビ・ラジオの音楽番組でMCを務める。
SYO(映画ライター)
1987年・福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション・映画ニュースサイトでの勤務を経て2020年に独立。以降、映画・ドラマ・アニメを中心に、漫画や音楽等のインタビュー、レビュー、コラムを雑誌・WEB・動画番組等で行う。
–まずは皆さんお好きな妻夫木聡さんのご出演作や、その魅力を教えてください。
伊藤:これ悩みますよね…みんな何出すんだろうってワクワクしてました。クオリティ、そして妻夫木聡という役者の色んな側面を楽しめる作品で言うと、『愚行録』(17)がすごい好きなんですよ。
奥浜:分かります!
伊藤:『愚行録』のオープニングがまさに『ユージュアル・サスペクツ』(95)みたいなスタートをするんですが、もうそこからダークサイドの役者・妻夫木聡をふんだんに楽しめる。妻夫木さんは死んだ魚の目の演技が上手い役者さんだと思うんですが、『愚行録』だとその手前のギリギリの演技で、仮面を被った表情を見せてくれるんですよ。セリフだけじゃない表情の中で見せる感情の機微が本当に見事で…。それでいてずっと見ていたくなるような魅力もある。何度も観ている作品ですね。SYOさんはどうですか?
SYO:僕、正に妻夫木さんの作品の世代だと思うんです。『ウォーターボーイズ』(01)や、高校時代にドラマ『オレンジデイズ』(04)も放送されていて、「東京に出たらこんな生活ができるんだ」って、僕の世代は周りもみんな思ってたかなって。実際に上京したら、僕はそんなことなかったって気づくんですけど(笑)。だから、ずっと妻夫木さんの作品を観て来ている印象があります。
一番好きなのは『怒り』(16)ですね。妻夫木さんが最後の方で泣くシーンがあって、ずっと印象に残っているんです。綾野剛さん演じるキャラクターとのやり取りも含め、未だに鮮明に各シーンを覚えていますし、自分が今まで見てきた映画の中でもとても好きな作品ですね。
伊藤:キャストも豪華で、渡辺謙さんも出演しているんだけど、全然妻夫木さんも引けをとってないんですよね。奥浜さんはどうですか?
奥浜:私も『愚行録』を挙げそうだったんですけど、ちょっと違うサイドでいきます(笑)。さっきSYOさんが触れた『オレンジデイズ』とも近いですが、妻夫木さんの青春群像劇という意味で挙げると、『きょうのできごとa day on the planet』(03)ですね。座礁した鯨や壁に挟まった男など劇的な展開もあるんですが、若者たちの日常に漂うゆるい空気感やリアルな会話が絶妙なバランスで成立していて好きな作品です。
伊藤:妻夫木さんは、どこにでも居そうな人物の役が似合うんですよね。いわゆるフィクションの登場人物でないような感じというか。
奥浜:「こんな友達がいるかもしれない」と身近に感じられるんですよね。
伊藤:それで言うと、『涙そうそう』(06)も何度も観てますね。今回『唐人街探偵 東京MISSION』で、妻夫木さんと長澤まさみさんが共演しているから、実は最近また観ていて。妻夫木さんが、どこにでも居そうなキャラである中に、頑張っている姿をすごくキラキラ輝かせるのが上手い役者さんだと思うんです。そういうのを感じさせてくれた役者さんの「走り」と言えるかもしれませんね。
奥浜:初期からメジャーな作品もインディー寄りの作品も、と出演作がバラエティーに富んでいて、なおかつ第一線で変わらず活躍している。その上で今もこれだけ多様な役を演じる役者さんって、本当に稀有だと思います。
SYO:昨年原作を劇場アニメ化した作品も公開された『ジョゼと虎と魚たち』(03)もいいですよね。ゼロ年代の日本映画の潮流と一緒に、妻夫木さんやオダギリジョーさんのような役者さんがメジャー/インディペンデント問わず様々な作品にも出るようになった。今だと松坂桃李さんや仲野太賀さんもそうだと思いますが、連綿と受け継がれている気がします。
–ここまでの皆さんのお話から繋がるところでもありますが、妻夫木さんの魅力は特にどこにあると思いますか?
伊藤:妻夫木さんって、くっちゃーって笑うんですよ。スクリーンにしっかりハマるから、コメディも全然臆せずやれちゃうと思うんです。「唐人街探偵」には前作から出演されてますが、全然違和感がないんですよね。世界観に見事にハマることのできる、変幻自在の俳優さんだと思います。
奥浜:そうですね。奇抜な世界観も似合うし、一方で日常に溶け込むような役も合うし、自在ですよね。
SYO:本当におっしゃる通り、”演技の出力”を作品に合わせて変えられる感じがします。爽やかなイメージもありますが、一方で『ミュージアム』(16)のような作品も出演されている。『ミュージアム』と『浅田家!』(20)、どっちもハマる役者さんって珍しいですよね(笑)。「次は何をやってくれるんだろう」ってワクワクします。
奥浜:これだけキャリアがあれば、固定されたイメージの役のオファーがくることもあるかと思うんですが、作品選びもすごくいいんですかね。
伊藤:『愚行録』では石川慶監督で、『ぼくたちの家族』(14)、ドラマ『乱反射』(18)は石井裕也監督、『ジョゼと虎と魚たち』だって犬童一心監督、『黒衣の刺客』だってホウ・シャオシェン監督でしょう。行定勲監督や李相日監督の作品も出ていて、役者さんだったら嫉妬しそうな監督の作品にたくさん出てますよね。
–最新作の『唐人街探偵 東京MISSION』は、皆さんはご覧になったご感想はいかがですか?
伊藤:楽しかったです!私はジャッキー・チェン映画が大好きなんですが、彼の出演作の様な雰囲気を感じました。小さい子から大人まで楽しめるような、飽きさせない画の展開があるんですよね。それでいて『名探偵コナン』のような要素もありつつ、エンドロールまでしっかり楽しませてくれて、さらにキャストも豪華。「これはやっぱり全世界でヒットするよね」と納得しました。日本で言うところの以前の「寅さん」シリーズみたいな、こういう映画がシリーズ化されるってすごく大事なことですよね。
奥浜:潤沢な資金力からなるロケーションだったり、ダイナミックな画の見せ方だったり、アクションだったり、本当に飽きさせないですよね。これを今そのまま日本で製作しても、このセットは組めないだろうな、この画は見せられないだろうなっていのうがてんこ盛りなんですよ。いつも見ている日本とはちょっと違うのかもしれないけど、「私たちはこんなにスクリーン映えする場所に暮らしてるんだ」って感じられて面白かったです。
–エグゼクティブプロデューサーの古澤佳寛さんは、あえて舞台の日本を少しデフォルメしたことで、コメディ要素を入れやすくなったとおっしゃっていました。
伊藤:ロケーションもちょっとだけマニアックなところを狙うじゃないですか。「新宿御苑とかじゃなくて浜離宮なんだ」って思いながら観てました(笑)。しかも冒頭で銭湯も出るし、ご時世的に難しい面もありますが、疑似的に日本観光をするのにはとても良いですよね。
奥浜:銭湯のシーンも、セットとしてお金がかかるし、撮影自体が難しいじゃないですか。あの画は日本の作品じゃなかなか撮れないと思います。
SYO:シリーズごとに舞台になる国々へのリスペクトがすごくありますよね。本作では楽しい国として日本を描いてくれた。撮っている側のスタッフもすごく楽しんでいることを感じられる映画はやっぱりいいですよね。でもただ単純に楽しいだけじゃなくて、後半に中国と日本の関係を考えさせられるようなシーンもあるので、エンタメの中にそういった文脈を入れているのもすごく良かったと思います。
–本作での妻夫木さんが演じた野田昊役はどうでしたか?毎回派手な装いでも印象的なキャラクターでしたが。
伊藤:冒頭から「このファッションセンス、すごすぎる!」と思って。ああいうスタイルが似合う俳優さんって、なかなか日本では居なそうじゃないですか。
奥浜:もちろん日本人の俳優としてそこに居るんだけど、馴染んでましたよね。
SYO:妻夫木さんって立ち姿がすごくきれいだなって思っていて。派手なんだけどぱりっとしたスーツが似合う。常にかっこいいし、セレブでプレイボーイっていうキャラクターが、立ち姿だけで伝わってきました。
伊藤:冒頭の空港での登場シーンも良かったですよね。
あと知り合いの映画ファンの方がこの映画にエキストラとして参加しているんですが、とにかく主演のリウ・ハオランが現場でも大人気だったそうです。空港のシーンはもちろん、新宿、秋葉原、観光バス、エンディングとエキストラやスタントを多く使っていましたよね。
奥浜:冒頭からすごいアクションシーンでしたよね!カメラワークも!
–あのシーンでは、スタントとエキストラが400人以上参加しているんですよね。
伊藤:その後も事件の中で、指令が来て、東京を中心に色々な場所に行くのも面白いですよね。
SYO:『ダイ・ハード3』(95)みたいでした!本作は色んな映画の要素が入っているのも面白いポイントでしたね。
–アジアの豪華キャストの共演も見所でしたね。長澤まさみさんとの共演は、日本での公開発表時は、『涙そうそう』を連想したという声もSNSではありました。
伊藤:やっぱりそうですよね(笑)。私は鈴木保奈美さんの演じた河村芳子の登場の仕方がすごく好きで。ドラマ『東京ラブストーリー』(91)を連想しちゃいました。チェン・スーチェン監督、日本の90年代ドラマやアニメを観ていると思います。
奥浜:あのギターリフは正にそうでしたね(笑)
伊藤:染谷将太さんが演じる指名手配犯・村田昭の役柄も好きでした!キャストの起用の仕方が豪華!でもそれでいで、邦画を観ている日本のファンも納得するキャスティングになっているのが素晴らしい。誰がどんな役にハマるのか分かっていて、実力と人気を兼ね備えたキャスティングに感じました。
奥浜:これだけのキャストが次々登場していて、全員に見せ場があるってすごいですよね。
SYO:妻夫木さんは、トニー・ジャーと並んでも全く浮いてませんでしたね。あれはすごい…!
伊藤:韓国の名優ハ・ジョンウと共演した『ノーボーイズ,ノークライ』(09)では韓国語を話してましたが、本作での中国語も違和感が全くなかったですもんね!やっぱり海外の作品は特に、人と仲良くなるために外国語であっても一生懸命やっていく方なんだなと思いました。実際にハ・ジョンウや、『黒衣の刺客』で共演したチャン・チェンとは未だに交流があるそうですし。
–本作では、妻夫木さん演じる野田×チン・フォン(リウ・ハオラン)が、ドラマ『SHERLOCK』(10)ばりに現代技術も駆使した推理戦を繰り広げるのも大きな魅力でした。アクションやコメディなどの要素もてんこ盛りですが、特に注目した点はありましたか?
伊藤:『SHERLOCK』っぽさもありつつ、絶妙にオリジナリティがありましたよね。謎解きのパートで、Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』や、映画『サイレント・トーキョー』(20)でも話題になった渋谷スクランブル交差点のセット(栃木県足利市)が使われていますが、あれって本作をきっかけに作ったんですもんね。普段スクランブル交差点は日常的に通りますが、リアリティがものすごいですよね。
奥浜:劇中で映る広告もナチュラルでしたね。遠くの景色まで細かく再現されていて、中国映画の技術の高さを感じました。
SYO:僕はアクションやコメディ以外だと、やっぱり色調がユニークだと感じました。例えばスクランブル交差点のシーンでも、そのまま撮ると、恐らくもうちょっと暗い感じになると思うんですよ。そこをあえて少し明るめに撮っている感じがして。
–皆さんそれぞれ注目されたポイントがあったんですね。最後に『唐人街探偵 東京MISSION』をより楽しむためのポイントなどを教えて頂いても良いでしょうか?
奥浜:本シリーズに初めて触れる方にも親切な、冒頭に入る過去作の紹介映像はありがたいですよね。
伊藤:私は過去作も観ていますが、もはや冒頭映像がなくても皆さん楽しめるのも良いですよね。
奥浜:確かに、KIKOやスーなど過去作のキャラクターも登場しますが、雰囲気や他のキャラクターとのやり取りを観ていると、説明なしでも分かりやすい演出になっていますよね。
伊藤:子供から大人までみんな楽しめますよね。謎解きのセリフについて行けなくても映像でも分かるようになっているから、誰も置いて行かれずに楽しめる。アニメっぽい画というか、謎解きのシーンで『名探偵コナン』さながらの、脳内を画で表現するCGを駆使したシーンは興奮しました!秋葉原のコスプレのシーンでも、妻夫木さんの『聖闘士星矢』の衣装もそうですが、日本のアニメカルチャーへの遊び心もあるリスペクトも世代を超えて楽しめますし。
奥浜:全体的に、ストーリーや構成も観ている側を常に飽きさせない作りになっていると感じました。ずっと何か起きていて楽しめるという感じ。
SYO:僕はむしろ、何も事前情報がなくても楽しめるってことがやはり最大のポイントなんじゃないかと思います。途中霊安室での推理シーンでコメディパートがあるんですが、あのシーンが非常に分かりやすい。遺体になりきったキャラクターたちがどんどん入れ替わって行って、「そんなの怖くない」って言ってた田中(浅野忠信)がしっかり怖がってたりとか(笑)。先ほど伊藤さんもおっしゃってたことに繋がりますが、子どもも視覚的に分かりますし、置いてけぼりにならないですよね。
伊藤:世代も性別も関係なくファミリーで楽しめる、っていうのがすごく大きなポイントですよね。
国際的に事件を解決してきたチャイナタウンの探偵コンビ、タン・レン(ワン・バオチャン)とチン・フォン(リウ・ハオラン)は、日本の探偵・野田 (妻夫木聡)から難事件解決の協力を依頼され、東京に飛ぶ。今回のミッションは、東南アジアのマフィアの会長の密室殺人事件で、犯人として起訴されたヤクザの組長・渡辺(三浦友和)の冤罪証明。タイの探偵で元刑事のジャック・ジャー(トニー・ジャー)も参加し、解決を試みるが、殺された会長の秘書である小林(長澤まさみ)が何者かに誘拐される事件が発生。そこに事件解決率100%を誇るエリート警視正・田中(浅野忠信)、謎の指名手配犯・村田(染谷将太)も絡み、事件は複雑化。さらに、探偵専用アプリ「CRIMASTER(クライマスター)」の事件解決率世界ランキングに載る探偵たちが、このニュースを聞いて東京に集結。世界探偵ランク1位で正体不明の「Q」の登場により、さらなる混乱が巻き起こる。
監督・脚本:チェン・スーチェン
出演:ワン・バオチャン、リウ・ハオラン、妻夫木聡、トニー・ジャー、長澤まさみ、染谷将太、鈴木保奈美、奥田瑛二、浅野忠信、シャン・ユーシエン、三浦友和
配給:アスミック・エース
©WANDA MEDIA CO.,LTD. AS ONE PICTURES(BEIJING)CO.,LTD.CHINA FILM CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”
7月9日(金) 全国ロードショー