2017年度講談社漫画賞を受賞した南勝久による人気コミックを実写化した映画『ザ・ファブル』。どんな相手でも6秒以内で殺めることができ、異常なまでの動体視力と身体能力を持つ凄腕の殺し屋“ファブル(=寓話)”の1年間の危険な休業生活を描いた本作。吹替一切なしのアクションと、コミカルな芝居でファブル/佐藤アキラを魅力的に演じた岡田准一が、撮影秘話や役を演じる上で意識したこと、漫画原作の実写化の難しさなどを語った。
“ハードルの高い”漫画原作の映画、現場は闘いの連続
──本作の出演オファーがあった時の心境からお聞かせいただけますか。
漫画原作の作品は初めてでしたね。小説原作の作品の時も「イメージと違う」と言われることがあって、だからこそ役の“核となる部分”をしっかりと掴んで演じてきたつもりですし、「この役が岡田で良かった」という観客の声が少しでも届くと、それが自信に繋がるところはありました。ただ、それは小説原作の作品だからであって、漫画原作の場合は、演じるキャラクターのビジュアルイメージがしっかりとあり、それを実写として成立させるのはハードルが高いことだと思うので、原作ファンの方にも喜んでいただけるような「面白いものにしなきゃ」という想いが強く、チャレンジする気持ちで臨みました。
──本作のどんなところに惹かれて出演を決められたのでしょうか?
今回のお話をいただく前から、「ザ・ファブル」は読んでいて知っていたんです。コミカルな面とシビアな面の描き方のバランスがすごく面白い漫画だなという印象を持っていました。
──原作のコミカルな面とシビアな面のバランスというのは、本作でも意識されたのでしょうか?
やはりシビアなパートとコミカルなパート、それからアクションのパートをそれぞれバランスよく描くことがこの映画の終着点だと思ったので、そこはチーム全員ですごく意識しながら作っていきました。それを成立させたいが故に現場は闘いの連続で、大変だなと実感することも多くて(笑)。
──原作ファンにも納得してもらわなければいけないですしね。
そうなんです。原作ファンの方に喜んでいただくためには、大事な核となる部分は絶対に残さなければいけない。だけど映画化するからにはエンターテイメントの要素もしっかりと入れなければいけないので、原作ファンの方が納得できる範囲でアクションを派手にしたり、ビジュアルをできるだけ寄せたりといったことを大事にしました。どの程度までやっていいのか正解があるようでないので、みんなで模索しながら作っていったという感じです。