Sep 18, 2022 interview

原田眞人監督が語る 『ヘルドッグス』は暴力を介した男たちのラブストーリー

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復讐のみに生きてきた元警官・兼高昭吾(岡田准一)は、その獰猛さゆえに警察に目をつけられ、関東最大のヤクザ組織へ潜入捜査官として送り込まれる。任務は、組織の若きトップ・十朱義孝(MIYAVI)が持つ“秘密ファイル”の奪取。警察の調査で相性が最も高い室岡秀喜(坂口健太郎)との接触を手始めに、着実に、かつ猛スピードで組織を上り詰めるが、その先には誰も予想できない結末が待っていた。

岡田准一と原田眞人監督の3度目のタッグで贈る“岡田史上もっとも闇深い”ダークヒーローが、坂口健太郎演じる相性98%のイカれた相棒と共に、秘められたミッションのため壮絶な闘いを繰り広げる。

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、原田眞人監督に、本作品の魅力的な出演者たち、ロケ地のエピソード、映画への思いなどを伺いました。

原田眞人監督が語る 『ヘルドッグス』は暴力を介した男たちのラブストーリー

『ヘルドッグス』を彩る3人の男たち

池ノ辺 映画『ヘルドッグス』観ました。男くさい、ちょっと拒絶したくなるような映画なのかと思ったら、エンタテインメントとしてすごく面白くて、これは女性たちにも受けるんじゃないかしらと思いました。

原田 この映画は、言ってみれば暴力を介した男同士のラブストーリーなんです。そこから出てくる色気、セクシーさを、岡田くんも(坂口)健太郎も、2人がそれぞれ意識してやっていたと思います。それに、登場人物の多くはヤクザですが、ダークスーツを着てチャキッとしている姿を見ると、やっぱり男の戦闘服だよね、かっこいいよねと、僕らが見てもそう思うし、MIYAVI含め、その辺はうまく演じてくれたと思います。

池ノ辺 岡田准一くん、どうでしたか。

原田 とにかく前作の土方歳三(『燃えよ剣』)よりもセクシーにいこうという話はしました。コロナの影響で撮影が延びたんですが、その間も彼の集中力は途切れなかったですね。逆にアクションやキャラクター作りでやりたいことをやる時間が十分に取れたんだと思います。

池ノ辺 坂口健太郎くんも本当に素敵でしたね。

原田 彼は、面接の時に、すでに自分の中では感情的にマッチするものがありました。ものすごく感性が一致するし話しやすかった。この役は彼にとっては今までにない役柄でしたけど、本人もやりたがっていたんです。

池ノ辺 これまでのイメージは、ラブストーリーが多くて、どちらかというと少し弱々しい感じでしたよね。

原田 彼は身体能力も高いし、表情もいい。役者というのは、サイコパスをやりたがる人が多いんだけれど、今回の愛すべきサイコパスの役は、彼にすごくハマってました。それに、こちらが思った以上に岡田くんとの組み合わせが良かったんですね。

原田眞人監督が語る 『ヘルドッグス』は暴力を介した男たちのラブストーリー

僕がこの映画についてもともと考えていたのは、原作は『地獄の黙示録』の要素の入った極道もので、そこにプラスして、サミュエル・フラー監督の『東京暗黒街・竹の家』というイメージです。その映画も男たちのラブストーリーの要素があるので、その辺を、MIYAVIくん含めた3人がうまく演じてくれたらいいなと思ってました。この中で一番若手として入ってくるのが健太郎で、リスクは大きかったけれど見事に演じてくれました。

池ノ辺 今までにない、奥の深い演技が見られてすごく良かったです。MIYAVIさんもすごくカッコよかった。

原田 彼はものすごく優しいんですよ。「撮影が全部終わった後に誰かが何か問題を起こして、出演シーンを消さなきゃいけなくなったら嫌だな、その第一候補はMIYAVIだよね(笑)」なんて冗談で言っていたんですが、実際は全然そんなことない。ものすごく真面目で、現場でもやりやすかったし、本人もいろんなアイデアを出してくれました。

海外での生活が長いし、アンジェリーナ・ジョリーの監督作品(『不屈の男  アンブロークン』)などに出た経験もあってか、わからないことがあるとストレートに聞いてきて、納得してからやってくれる。僕はすごくそういうのが好きなので、楽しかったです。

池ノ辺 そういう男性たちに囲まれての撮影だったんですね。

原田 自分が脚本の段階で考えていたイメージが、彼らが動き出すことによって、それ以上のものを出してくれたんです。たとえば健太郎が、金田哲に死の接吻をするシーンなんて、嫌かなと思ったら結構2人でマジにやってくれました(笑)。ああいうところは見ていて微笑ましかったですね。

池ノ辺 演じる側も楽しかったんでしょうね。

原田 多分そうだと思います。だから毎日が充実して過ぎていくような撮影でした。主役グループがギスギスしていると現場もそこに引きずられるんですが、今回はそういうことはなくて、現場もすごくいい雰囲気でした。

池ノ辺 そんな3人の男たちを盛り上げていこうという中の女性のひとりが、松岡茉優さん。彼女も今までとイメージが全然違いました。

原田 彼女は現場で見ていて、僕のイメージよりもどんどんよくなって、いい女になっていきました。編集で彼女の出番を削ったところもあるんだけど、男たちを相手にして一歩も引かないというのがはっきり見えて、すごくやりやすかったですね。

池ノ辺 まさにいい女という感じで、かっこよかったです。

原田 彼女の衣装は、長いこと僕の作品の衣装を担当してくれている宮本まさ江さんが彼女に合うものを選んでくれました。ああいった男の世界での女性の衣装というのはすごく難しいんだけど、彼女のキャラクターにも髪の色にもピッタリあってましたね。ちなみに髪の色は松岡さんのアイデアです。