Aug 01, 2018

インタビュー

『ドカベン』山田太郎役から本格的に声優の道へ! 田中秀幸が語る、里中役・神谷明ほか明訓メンバーとの制作秘話

古川登志夫と5年以上のタッグを組んだ『白バイ野郎ジョン&パンチ』

 

平野

『白バイ野郎ジョン&パンチ』は、秀幸さんがジョンを、登志夫さんがパンチを演じているのよね。

古川

そうそう。まさか秀ちゃんとコンビを組めるとは思ってもいなかったので、うれしかったなぁ。

田中

さっきは僕の演技を褒めてくれましたけど、僕は逆に古川さんの演技力にびっくりしましたよ。これが海外ドラマでは初めての大きな役だったというのが信じられなかった。実に軽妙な演技でしてね。

古川

パンチ役は、録音監督の壺井さんが声をかけてくださってね。原作よりもジョンとパンチの性格の違いを明確にしましょうということであのかたちになったんです。パンチはもっとふざけて、って。

田中

オリジナルのパンチって、古川パンチよりはじけてないんですよね、確かに。

古川

オリジナルの音声でパンチが「HAHA……」って2つ笑っていたら、こっちは5つか7つ「ヌハハハハハハ!」って笑っちゃう。だいぶ誇大にやってましたね。ジョンは逆により堅い感じにしようってことになっていたよね。

田中

翻訳もオリジナルに忠実ではなくて、そうとういじっていたよね。意訳というか、意も残っていないというか(笑)。

 

 

古川

脚本はたかしまちせこさんが担当されていたんですが、面白くするためにオリジナル脚本とは真逆のセリフにしちゃうこともあったそうですよ。

田中

そういうことをできる時代だったんですよね。

古川

特に予告編がメチャクチャでね。「帰りに信濃町の駅前で一杯やろうか。焼き鳥食いに行こうぜ」みたいな(笑)。

田中

スタジオが信濃町にあったんだよね(笑)。

古川

そういうのを収録中に壺井さんが一所懸命に考えてた。

平野

(笑)。

古川

その上でね、二人の声質も良い感じに対極的だったと思うよ。ソフトで落ち着きのある秀ちゃんと、硬質で軽薄な感じのある僕とでうまくコンビネーションができていたんじゃないかな。

田中

あと、このドラマではエンディングテーマ「カリフォルニア・サンセット」も二人で歌ってるんだよね。海外ドラマでそこまでやるのは今でも珍しいですよね。

古川

しかも作曲は『ルパン三世』で有名な大野雄二さん! 昼のワイドショーに呼ばれて歌ったりもしたなぁ。

田中

東京12チャンネル(現・テレビ東京)の夕方の歌番組に出た時は困ったよね。ほとんど演歌歌手ばかりという中に、ジョンとパンチのコスプレをした僕らが入り込んで、「カリフォルニア・サンセット」を歌うんですよ。演歌歌手の皆さんが、何だあいつらはって目で見てた。あれは本当に恥ずかしかった(笑)。

平野

やっぱり人気の作品、声優だからいろいろやったのね。

 

 

古川

番組のプロデューサーさんがいろいろな仕掛けを盛りこんでいきたいっていう人で、イベントやったり、100回記念でオリジナルTシャツ作ってプレゼントしたり……ほら、これですよ(と言いながらTシャツを取り出す)。

田中

でも、そのおかげで、最初は深夜番組だったのが、最後はゴールデンタイムに昇格してね。熱心なファンもたくさんついてくれて、収録後にはスタジオの前に白バイ警官のコスプレをした人たちが集まったりしたよね。

古川

僕、ファンのバイクに乗せてもらったことありますよ。カワサキのZ1000。

平野

収録時の思い出とかはある?

古川

とにかくセリフが多かった(笑)。また、壺井さんが、早録り派でね。パパッと録っちゃうんだよ。

田中

でも、古川さんはすごかったんだよ。そんな中でもいろいろなアドリブを突っ込んでくるんだから(笑)。すごい人だなって感心していました。それである日、ふと、古川さんの台本をのぞき込んでみたら、台本にきちんとアドリブが書き込まれていてね。ちゃんと計算があるんですよ。

古川

でも、それは相手が秀ちゃんだからできたんだよ。何を言っても、ちゃんと受けてくれたからね。

平野

アドリブは本番に突然入れてくるんですか?

田中

そういう相手を困らせるタイプのアドリブじゃなかったですよ。ちゃんとテストの時からやってくれて。

古川

僕は根が真面目ですからね。千葉ちゃんみたいに本番で別のことを言って相手を笑わせようとなんてしません。『うる星やつら』の時は、それで文ちゃんが噴き出しちゃって大変だったんですから(笑)。

平野

え~、その節はご迷惑をおかけしました(笑)。

田中

千葉ちゃんはそういうのを期待して、わざと笑わせようとしているところ、あったよね(笑)。なんにせよ、そんなふうに『白バイ野郎ジョン&パンチ』の現場は和気あいあいとした良い現場でした。収録が終わったら、予告編でやったように、みんなで飲みに行くのが当たり前になっていたのをよく覚えています。

 

 

構成・文 / 山下達也
撮影 / 根田拓也

 

プロフィール

 

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田中秀幸(たなかひでゆき)

11月12日生まれ、東京都出身。青二プロダクション所属。主な出演作品には、「ドカベン」(山田太郎役)、「キン肉マン」(テリーマン役)、「SLAM DUNK」(木暮役、ナレーション)、「名探偵コナン」(工藤優作役)など多数ある。

 

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古川登志夫(ふるかわとしお)

7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~ フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。

 

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平野文(ひらのふみ)

1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。