- 平野:
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『うる星やつら』のキャラクターは、皆、個性的で、それをそれぞれの声優が確立していったというところがあったと思います。もちろん、高橋留美子先生の原作あってこそなんですが、神谷明さん演じる面堂終太郎の極端な二面性とか、その後の作品に与えた影響も大きかったんじゃないでしょうか。また、作画の方もそれに触発されて、良い意味での競争になっていました。
- 杉山:
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今ではちょっと考えられないですけど、そういうパワーのある作品でした。
- 平野:
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そうそう、『うる星やつら』の思い出と言えば、杉山さんのご長男のチワワさん(編集部注:シンガーソングライター、役者、声優としても活躍中の渋川チワワさん)は、『うる星やつら』放送中にご誕生されたんでしたよね。
- 古川:
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子供の写真がプリントされたシールを作って配ってましたよね(笑)。いまでも、手帳に貼ってありますよ。
- 杉山:
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そんなことやったのは『うる星やつら』のチームだけですよ。あの現場には、そういう気持ちを許せるところがありました。
いつかは写真集を出してみたい!?
- 平野:
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さて、そろそろお時間も迫ってきましたので、最後に、今後、杉山さんがやりたいこと、挑戦していきたいことについて聞かせていただけますか。
- 杉山:
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声の仕事とは全然関係ないんだけど、実は私、写真がものすごく好きで。子供が生まれた時に一眼レフを買ったのがきっかけなんですが、すごくハマってしまって。今はお手軽にスマホで撮ることが増えてしまったんですが、一旦、どこかできちんと勉強したいなという気持ちがあります。
- 平野:
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被写体はお子さん以外だと何なんですか?
- 杉山:
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動物が撮りたい。猫の笑い顔写真集とか出したいなぁって妄想してます。猫は笑わないって言うんですけど、笑うんですよ。ただ、2011年から大阪芸術大学で教えるようになってからは、なかなか時間がね……。今も成績表付けなくちゃいけなくて大変なのよ(笑)。
- 古川:
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僕の方から、逆に「やってほしい」ことを言って良いのなら、もっと演技の仕事をやってほしいかな。教えるのも良いんだけど、杉山さんご自身の演技をもっと見せてほしい。ま、僕も人のことはいえないんだけども。
- 平野:
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私も杉山さんの「技」をもっと見せていただきたいです!
- 杉山:
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そう言われちゃうと怖いですね(笑)。でも、また3人で何かをやりましょう!
構成・文 / 山下達也 撮影 / 根田拓也
杉山佳寿子(すぎやまかずこ)
4月9日生まれ、愛知県名古屋市出身。青二プロダクション所属。1967年に『冒険ガボテン島』のトマト役で声の仕事を始める。出演している主なアニメーション作品には、「アルプスの少女ハイジ」で主人公のハイジ、「うる星やつら」のテンちゃん、「Gu-Guガンモ」のガンモ、「キテレツ大百科」のコロ助など多数ある。タカラのリカちゃん人形のテレホンサービス、リカちゃん電話のリカちゃん役は1967年から25年以上担当した。
古川登志夫(ふるかわとしお)
7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~ フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。
平野文(ひらのふみ)
1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。