レジェンド声優インタビュー 杉山佳寿子[うる星やつらの思い出編]
arranged by レジェンド声優プロジェクト
アニメ黄金期の立役者である「レジェンド声優」と、自らもレジェンドである声優・古川登志夫さん、平野文さんによる濃密トークをお送りするレジェンド声優インタビュー。今回ご登場いただくのは、1970~80年代のテレビアニメ成長期を支えた名優・杉山佳寿子さん。『アルプスの少女ハイジ』などの名作から、『うる星やつら』『Gu-Guガンモ』『キテレツ大百科』といった、80年代人気作品まで、幅広い舞台で活躍してきた杉山さんの声優道をお伺いしてきました!
実は『うる星やつら』ではラム役を狙っていた?
- 平野文: (以下、平野)
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1981年、いよいよ『うる星やつら』がスタートします。私たち3人は、ここで初共演。杉山さんが演じたテンちゃんは、第3話から登場し、その後、ラム、あたると並ぶ、メインキャラの一人として活躍しました。まずは、テンちゃん役が杉山さんに決まるまでのいきさつを教えていただけますか?
- 杉山佳寿子: (以下、杉山)
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テンちゃん役はオーディションで決まりました。ただ、当初『うる星やつら』のオーディションは、ラム役で受けにいったんですよ(笑)。
- 平野:
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えええええ!? 初耳です!(笑)
- 杉山:
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久々の美形だと思って、気張って大人っぽい格好して行ったんです。そうしたら、会場にテンちゃんのキャラ絵が貼ってあって……呼ばれちゃったんですよね(笑)。「ワイはここや、ここや~」って。それで音響監督の斯波重治さんに無理をお願いして、テンちゃんのオーディションも受けさせてもらうことにしました。
- 古川登志夫: (以下、古川)
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芝居をやってると、そういうこと、あるらしいよね。
- 杉山:
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ただ、『うる星やつら』のオーディションはものすごくたくさんの人が受けに来ていて、そこに割り込む時間の余裕はない、と。全員終わるまで待てるならやらせてあげるよって。
- 古川:
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じゃあ、仮に用事があって、そこで帰っちゃってたら、テンちゃんは別の人がやっていたかもしれないんだ。
- 杉山:
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そうかも……いや、どうしてもやりたかったから、無理してでも残ったような気がする。
- 平野:
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それくらい、テンちゃん役に感じるものがあったんですね。で、実際にテンちゃんを演じたのを聞いた、斯波さんの反応はどうでしたか?
- 杉山:
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一言出したところで「あ、これはカコで決まりだな」って思ったそうです。
- 古川:
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杉山さんの「だっちゃ」は聞いてみたかったけど、確かに、テンの声は杉山さん以外、考えられないよね。
- 杉山:
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実は私、こういう、オーディション現場で急遽別の役に呼ばれるってことが多いんですよ。『Gu-Guガンモ』(1984年)のガンモ役もそうでした。あれも本当は半平太役を受けに行ったんですよ。あと面白いところでは、1982年の映画『新竹取物語 1000年女王』ですね。1000年女王役でオーディションに呼ばれたはずなのに、実際にはラーメン屋のおばさん役をやることになって(笑)。
- 古川:
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すごい落差!