Feb 22, 2017

インタビュー

緊急対談:SMAPとは何だったのか? 香取慎吾は、「未完の大器」である。

“人間関係”も“会社”も、スタートより、終わらせる方がずっと難しい。デビュー25周年の昨年大晦日、遂に解散したSMAPから、私たちは何を受け止めたらいいのだろうか。

これまでSMAPメンバー出演の映画の撮影現場で密着取材し、3年半に渡ってSMAPのオフィシャルコラム『Map of Smap』でライターを務めた相田冬二、そしてカルチャーとしてのSMAP特集をいち早く組んで話題を呼んだ雑誌『Invitation』の元編集長・小林淳一のふたりが、数回にわたって批評、考察していく連載『「SMAP」とは何だったのか』。

第5回目は、個性的な脇役から大河ドラマ主演まで演じ、「慎吾ママ」など”キャラもの”としても存在感も示してSMAPの幅を広げた、香取慎吾さんについてです。

 

第5回:香取慎吾は、「未完の大器」である。

相田冬二(SMAPオフィシャルコラム『Map of Smap』ライター)× 小林淳一(元Invitation編集長)

 

SMAPの中でダントツに
美しい四肢を持つ男

 

小林淳一(以下、小林) 香取慎吾は、小学生からずっとタレントであり役者をやってきたんですよね。木村(拓哉)や中居(正広)が、小学生や中学生の頃にディズニーランドに行ったり、野球に没頭したりと“真正の人”として子ども時代を楽しめた時期があったけど、香取はずっと仕事をしている。でも逆に言うと、香取は11歳でジャニーさんに抜擢されたっていうことは、かなり期待されていた存在だったということですよね。

相田冬二(以下、相田) “小学生がSMAPをやっていた”ということを、彼はテレビで自嘲気味に語ったりもするよね。ある種のネタとして。それにしても、香取の身体があんな風に成長するって、ジャニーさんの想定外だったかもしれない。ただ結果的には、香取が大きくなったことで、SMAPはデコボコになって、それがよかったと思う。普通はアイドルグループって、身長がそろっているものじゃない?

小林 背丈はそろっていますよね。背の高いメンバーが集まっているのがTOKIO。香取の身長は180cmくらい。SMAPの中にいるとかなりデカく見える。ほかのメンバーがそんなに高くないから。

相田 そんな香取の身体性が最大限に生かされたのが『沙粧妙子  最後の事件』(フジテレビ系)の犯人役だったよね。<役者・香取慎吾>を語るなら、僕の中ではあの演技が最高。そう考えると、稲垣吾郎とはスタートが真逆。主演ではなく「脇役」から始まっているのが香取慎吾。しかも、キャラ的に“強烈な脇役”という……。

小林 『沙粧妙子 最後の事件』では、香取が演じる人物の影のシルエットが伸びている画(え)が印象に残ってますね。フォルムが美しく、ものすごい存在感だった。あれが結果として、その後、『未成年』(TBS系)や『ドク』(フジテレビ系)のように、“少し変わった主人公”を演じる役者になっていく序章になりましたよね。その香取の特徴である身体性を考えた時に出てくるのが、香取と数多く共演している観月ありさ。香取が恋愛ドラマとして最初に出演したのは『いちばん大切なひと』(TBS系)でした。相田さんもコラムで書いていたけど、香取慎吾にとっての観月ありさって、ものすごく重要な存在だったと思うんです。観月も背が高くて、身体が特徴的な女優じゃないですか。

相田 特に当時の女優の中では、宇宙人的に大きかったよね。とにかく顔が小さいから、等身が全然違うし。まさに別の星の人。

小林 観月って、四肢が長いから、ランウェイを歩くモデルとしては完璧だけど、テレビのフレームだと演出家が上手くないとハマらないという問題があったと思うんです。この連載で頻出している星護(監督・演出家)だけが『じゃじゃ馬ならし』(フジテレビ系)などでその美しい四肢を画面に収めていた。映画『ぼくんち』の観月のポージングが印象的なカットとか、僕は好きですけどね。観月ありさが両手を広げたカット。観月でなければ絶対に成立しない何かがあって。その監督・阪本順治と後に香取は組むことになるのですが。

観月と言えば、昨年まで25年連続で連ドラ主演を務めるギネス記録を更新中の女優。この記録に貢献している代表作といえば、20%を超える高視聴率を獲得した『ナースのお仕事』(フジテレビ系)シリーズですよね。この作品で、細身で長身の観月がナースに変身したことや、その横にぽっちゃりした松下由樹がいるという構図のおもしろさも長寿シリーズになった理由のひとつだと思うんです。

そういう意味では「型」のドラマというか、コスプレ的な面白さもあって、そこにハマるという意味では、香取とは似たタイプの役者だったと思うんです。実際にふたりでそんな話をしたりすることはないと思うんですけど(笑)、仕事における悩みが一緒だったんじゃないのかなって気がするんですよね。画面への映り方とか。

相田 なるほど、ある種、「同族」だったのか。ふたりが子役時代から仲が良いのは、だからなのかもしれない。

小林 一方で香取は、その“身体的な美しさ”が活きる役に当たらなかった。ある時点から、香取ってある種“キャラもの”になっちゃったじゃないですか。一番極端な例が、「慎吾ママ」(『サタ☆スマ』(フジテレビ系)のコーナー)ですよね。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(TBS系)の両さんとか。そしてみんなそうとは捉えていないとは思うけど、映画『座頭市 THE LAST』もある意味“キャラもの”。つまり、勝新(太郎)のトレースを求められてきたわけで。ドラマ『蘇える金狼』(日本テレビ系)なら松田優作という具合に。まず、一般に知られた「型」があった。こうした香取に与えられた“お題”って、他のメンバーには与えられてこなかった。香取はその“お題”に向けて頑張ったわけですけど……。

相田 ある時期からそういう役まわりになったよね。飯島(三智、当時のマネージャー)さんにインタビューしたことがあるけど、飯島さんは『座頭市 THE LAST』 の企画が動き始める前に、「香取には勝新太郎のようになってほしい」と僕に希望を語ってくれました。つまりアウトローやはみ出し者のイメージがあったのだと思います。だからはじめは 『ドク』とか『未成年』という、社会的弱者の役から始まった。そして<存在としては社会的弱者だけど、本当に弱っちいわけじゃない>という役がハマりましたよね。だから実は“裏街道”的な役柄が似合う人ですよね。

小林 でも「社会に対して恨みを持っている」という風ではない。そこもSMAPっぽいですよね。

相田 そう、あからさまな反逆者ではない。でも奥底に反骨精神があるという、普通ではない存在。それが、だんだん、そうじゃなくなっちゃった。“異形”の捉え方がちょっと極端な方向に向った部分はあるよね。コスプレ的な“キャラもの”の方向に行ってしまった。

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