Jan 30, 2020 interview

タナダユキ×蒼井優の"同志"が語る12年での変化、再タッグ作で感じた醍醐味

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台本は“明確な地図”だった

――後半の性描写は大胆でありながら切なくもありますよね。

タナダ 園子は哲雄(高橋一生)が一生懸命に人形を作っていて、その人形を完成させてほしいという気持ちがあるんですよね。性欲というより愛情だったり、ちょっと怖い見方をすると哲雄に対する執着とも取れるかもしれません。彼女は哲雄のなかに残りたいという想いが湧き上がり、でもそれがその後の哲雄を苦しめるかもしれないっていうこともわかっている。そして哲雄もすべてわかっていて、園子への想いを再確認し、自身のなかに園子を残したいという自分の気持ちを受け入れるっていう流れにしたかったんです。

蒼井 私のなかで今回、楽しかったのは、園子のキャラクターを作っていくというよりも、全部哲雄目線で語られるから、私は“哲雄のなかの園子”を演じるという感覚だったことですね。

――園子と哲雄は最初は恋人で、その後、夫婦になります。そういう点で演じ分けはしましたか?

蒼井 タナダさんの台本で本当にありがたいのは、こちらがいろいろ考えなくても、台本通りに演じるときちんとタナダさんが撮りたいものになるっていう、明確な地図を渡されている状態なんですよ。だから台本通りに演じました。

――ほかの脚本とは違うんでしょうか?

蒼井 私はわかりやすいんですよね。タナダさんの作品のテンポだったり間だったり音だったりがすんなり全部聞こえてくるっていう感覚です。

――タナダさんは脚本化される時に意識したことは?

タナダ まずあれこれ書きすぎないように気をつけます。この時はこうしてこう動くなど細かく書くことはやらないようにしていて、台詞とちょっとしたト書きくらいです。

――そのほうがイメージを膨らませやすいんですか?

蒼井 そうですね、タナダさんを知ってるっていうのもあるのかもしれないです。感覚が近いのかなぁっていう気はしてます。

会話と本音―タナダ組の醍醐味

――夫婦が食卓を挟んでお互いの打ち明け話をするシーンが印象的でした。

タナダ そのシーンは、撮影現場は何の問題もなかったんですけど、仕上げが難しかったんです。現場でのお芝居を最大限に活かすためにはどうしたらいいのか。深刻な話をするなかで、お互い、自分の主張をしているんだけど、ちょっとだけ滑稽に見えたり、話すことによってお互いの矛盾が露呈したり、そういう人間味や心情の変化とかのバランスを観客の方々に伝えるためにはどうしたらいいのかすごく悩んで。

――例えばどんな点でしょう?

タナダ 例えば音楽の入れ方――どういう曲調で、どういうタイミングでどこに入れるのか。何も(音楽を)入れないのは、観客の方がどう見たらいいか迷っちゃうかもしれないから不親切だと思ったんです。ここはちょっと肩の力を抜いていいんですよ、ここからはちょっと深刻になりますよ、みたいなところをどうしようか非常に悩みました。

――あのシーンも蒼井さんとしては、やはり台本通りにやれば大丈夫というところでした?

蒼井 『百万円と苦虫女』でも同じように、森山未來さんと長い二人の会話シーンがあったんですけど、ジャグリングしてるみたいな感じなんです。普通に話す会話と、本来聞こえないはずの腹の探り合いの会話とが同時進行になる。相手がしゃべってる声と隠してる本音の声の両方でやり取りするのがすごくおもしろくて、それはタナダさんのホンのおもしろさだし、まさにタナダ組の醍醐味。台本通りに演じるとちゃんとそう聞こえてくるんです。だから今回の哲雄とのやり取りも、あぁ、タナダ組に戻ってきたなって感じがすごくしました。

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