Jan 30, 2020 interview

タナダユキ×蒼井優の"同志"が語る12年での変化、再タッグ作で感じた醍醐味

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映画では『百万円と苦虫女』(08年)以来となるタナダユキ監督と蒼井優のタッグ作『ロマンスドール』は、タナダ監督自らが執筆した同名小説が原作。“ラブドール”職人の青年・哲雄(高橋一生)と妻・園子(蒼井優)の10年の愛を描いた、リアルで切実で、でもちょっと不思議でちょっと可笑しくもあり、そして儚く美しいそんな物語だ。“盟友”とも言える二人の対談が実現し、撮影のことやお互いについて、さらに影響を受けたエンタメについて語ってもらった。

口には出さないけど…“同志”のような存在

――以前、タナダ監督は自分にとって蒼井さんは“特別な女優”とおっしゃっていましたが、どのような点でそう思われるのですか?

タナダ 自分にとって規模の大きな映画が『百万円と苦虫女』だったということもありますし、そのころの私はいまよりももっとダメダメだったので。監督としてダメだった時から知ってくれている――見捨てないでくれている(笑)、数少ない女優さんっていう意味で特別な存在です。

蒼井 えー、そんな(笑)。ダメなエピソードって何かありましたっけ?

タナダ だって現場で知らない用語があったのに知ってるふりしたりとか、当たり前に知っていないといけないことを知らないって言っちゃって、スタッフにびっくりされるとか(笑)。

蒼井 よくスタッフさんに質問してたのは覚えてます(笑)。

タナダ そうそう、知らないから素直に聞いてて(笑)。

蒼井 私もそういう専門用語はあんまり知らなかったから、一緒に勉強してました(笑)。

タナダ そうだったね(笑)。

――蒼井さん、約12年ぶりのタナダ組に参加してみていかがでしたか?

蒼井 お互いにそうかもしれないですが、待てるようになったなと思いました(笑)。キャリアを積むごとにスタッフさんにしても共演者にしても、自分よりも後輩とか年下の若い人たちが多くなってくるから、いままでは待たせる側だったかもしれないけど、準備が整うのを待つ側にちょっと移行してるんですよね。そこが変化ですね。

タナダ まだかな~とか思いつつ、やれることないからお茶でも飲むかな、と(笑)。

――お二人のテンポ感が似ているということもあるんでしょうか?

蒼井 私は勝手にそう思ってます。

タナダ おもしろいと思うことが似てるのかな。蒼井さんのほうがおもしろいからしゃべってると楽しいですね。

――言葉にするとちょっと違うかもしれないですけど、お互い“同志”みたいな感じですかね。

蒼井 正直、そう思ってますけど、そういう言葉を口にすると照れるんでしょって、お互いが思ってる感じも似てる(笑)。

タナダ そうそう(笑)。言ったことないけど、私もそう思ってるんですけど…(照笑)。

蒼井 すごい恥ずかしいよね(笑)。

タナダ だからがんばって言えたのが、“私にとって特別な女優”でした(笑)。