──では、お互いを知り尽くしているからこそ思う、それぞれのキャラクターに似ている点は?
小関 志尊ちゃんは、ユズと同じくすごく心が広くて優しい。ユズよりも優しいんじゃないかなと思います。でもユズと違って攻めるときは攻めるという強さは持っていて。ユズにもあるとは思うけど、志尊ちゃんには優しさを兼ね備えた信念の強さがあります。
志尊 これ、うれしいけどなんか照れますね(笑)。
小関 お互い忙しくて、しばらくプライベートで会えていなかった時期でも、僕の出演した作品を“観たよ〜!”って連絡をくれたりしていて。志尊ちゃんだって忙しいのに、わざわざ連絡をくれたことがうれしくて。今回の撮影中も、僕が不安に思っていたシーンの前に何かを察してくれたのか“大丈夫だよ”と声をかけてくれたり。その一言一言が心に残っていますね。だから心に余裕があって、大人だな、と。志尊ちゃんを見ていると、同い年だけど、僕もあんな風に心に余裕がある大人になりたいなって。
志尊 僕から見ると裕太は余裕だらけに見えるけどなあ。
小関 持ちたいと思ってはいるんだけどね。
志尊 だって余裕がないと、朝早く起きて公園でバスケやったりなんて出来ないよ(笑)。
小関 今日も朝からバスケしてきたよ(笑)。
──志尊さんから見た、モモと小関さんの共通点は?
志尊 裕太は思ったことをストレートに言葉で表現できるタイプだけど、どんな状況であっても女性に強い言葉を投げつけたりはしないと思うんですよ。モモはニノをあえて傷つけるけど、もし裕太がモモと同じ立場だとしたらきちんと説明するタイプだと思うので。
小関 モモと今の僕とはあまり共通点がないかもしれないけど、小中学校時代の自分には少し似ていると思っていて。
志尊 あ、たしかに。それはちょっとわかるかも。一匹狼だった時代でしょ?
小関 そうそう、自分のテリトリーには例え家族でさえも入ってきて欲しくなかった時代。
志尊 今は良い意味で変わったもんね。でも、例えばモモが持つ音楽に対する探究心であったり、こだわりを持って自分のアイデンティティを表現していくという部分は似ている気がする。一番最初に会った15歳ぐらいのときから、裕太は自分が考えることをどんどん発信していて、そこにブレを感じない。人に影響されない自分を持っているというところはモモとの共通点なのかもね。
小関 うれしいなあ。でも今回、『覆面系ノイズ』の公開にあたって色々な取材で2人で話す機会があるけど、話せば話すほど自分でも忘れていたエピソードがどんどん出てくるんですよ。
志尊 不思議と出てくるよね、だから止まらなくなっちゃう。
小関 だから、このタイミングで共演出来たというのは、すごいことだな、と。しばらく会わない期間があっても、ちゃんとしかるべきタイミングでまたこういう機会があって。前作でもライバルの役だったけど、今回のユズとモモもそうだったので、良い偶然だな、と。
──どのくらい久しぶりだったのですか?
小関 共演は前作(2011年)以来だし、プライベートでもなかなかタイミングが合わなくて。でもちょくちょく連絡はくれていたんですよ。あ、家に泊めてもらったこともあったよね。
志尊 電車が止まっちゃって家に帰れなかったときに、家に泊りに来たんですよ。
──しばらくの期間を経て共演されてみて、お互いのお芝居を見て思わずすごいなと思ったシーンなどはありました?
小関 普段のユズってすごくフラットで。まさにユズフラット。
志尊 それ、言いたくなっただけでしょ(笑)。
小関 そう、言いたくなっちゃった(笑)。そんなフラットなユズが大きく感情を出すシーンが何度かあるのですが、気持ちが溢れ出した瞬間のお芝居がすごくかっこよくて好きでした。
志尊 僕は撮影中はモモとして裕太を見ていたので、裕太のお芝居というよりは、裕太演じるモモを見て感じたことなのですが、普段のキャラクターと全く違う人物を演じ切っているところが、役者としては当たり前のことかもしれないけど、説得力があってすごいなと感じました。モモは目の中に闇があるという設定なのですが、そこに関して裕太が試行錯誤していたのを知っている上で観ると、ツンツンしている中にも儚さのあるモモという人がスクリーンの中に立っていて。こういう相手とライバル関係を演じられたことがうれしかったですね。
──以前共演したときも、そういうお話をしていました?
志尊 いえいえ、当時はお芝居の“お”の字もわからないような状態で。その後、それぞれが別の現場で体験して来た上で再共演してみて、お互いがやりやすい雰囲気を空気感で察しながらやれたことは今振り返っても貴重な経験でした。セッションシーンは監督から任されていた部分が大きかったのでユズとモモのあの空気感っていうのは、今までの関係性があったから作れたものなんじゃないかなって思います。