Apr 20, 2017 interview

グルメ+時代劇!?野武士が突然登場する異色のグルメドラマ『野武士のグルメ』竹中直人×久住昌之インタビュー

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竹中直人の中にも久住作品の主人公のような面がある

 

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──『野武士のグルメ』は、久住さんのエッセイ版、土山しげるさんの漫画版、今回のドラマ版と違うところが色々とありますが、ドラマのシナリオを最初に読まれてどう思われましたか?

竹中 僕は、事前にシナリオを読まないんです。先入観を持ちたくないので。現場に行ってはじめて読んで、その現場で感じた空気の中で動きます。

──では、オファーを受けたときもシナリオがどうこうではなくて、久住さんの作品だから受けたということでしょうか?

竹中 やっと久住さんとご一緒出来る。ただそれだけでした。

久住 (笑)。

──久住さんはシナリオを読まれて、いかがでしたか?

久住 僕、今回はシナリオを読まなかったんです。『孤独のグルメ』のときはシナリオの段階で松重さんのセリフを僕が直してるんですけど、こっちは何にもやんなかったんです。

──特にリクエストも出さなかったんですか?

久住 はい。そのほうが面白くなるような気がしたんで。土山さんの漫画経由でドラマになってるんで。

──では、映像が完成した段階でご覧になったんですか?

久住 いえ、音楽を作らないといけなかったから(音楽を『孤独のグルメ』同様、久住さんのバンド、The Screen Tonesが手がけている)、まだ完成してない段階の映像を見せてもらいました。

 

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──ご覧になって、いかがでしたか?

久住 漫画版の主人公の香住武と竹中さんのイメージが違うから、どういうふうに役作りするのかなと思ってたんですよ。そしたら、竹中さんがけっこうそのまんまで。そこが意外で、でも、そこが面白かったですね。

竹中 僕は、役作りって言葉が大キライで、いつもその場の“ノリ“一発って感じなんです。

久住 (笑)。

竹中 原作ではなく、このドラマの主人公の気の小ささみたいなものは、自分と通じるものがありました。

──現場で作り上げていく、と。

竹中 原作に思い入れがある方はいますよね。でも、原作とは又、別の物という思いはあります。僕が最初に監督した『無能の人』(1991年の映画。竹中さんが監督・主演)はつげ義春さんの作品でした。そのときも全然、原作とは違うイメージで、原作ファンの方からは、かなりのクレームがありました。でも、それはしょうがないですね。

──久住さんの立場としても、映像化のときに原作を正確になぞる必要はないと思われますか?

久住 無理ですからね、それは。それに『野武士のグルメ』は土山さんの漫画にする時点で「好きにやってください」って言ったんですよ。そこから、次はドラマになるわけですし。漫画は漫画、ドラマはドラマの世界なので、好きなふうに解釈してやってもらったほうがいいですよ。

竹中 ただ、『ピンポン』(松本大洋の漫画が原作の映画。竹中さんも出演)だと窪塚洋介くんが原作の主人公とそっくりだったですからね。『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子の漫画が原作のドラマ、映画。竹中さんも出演)の上野樹里ちゃんも。

──原作に寄せる方向性でした。

竹中 というのもありますからね。いろいろな人のいろいろな価値観がありますからね。

 

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