Mar 10, 2024 interview

プログラム・ディレクターが解説 「ガンダム」シリーズ「火垂るの墓」などや海外の長編アニメ作品が上映される、第2回新潟国際アニメーション映画祭

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なぜ、3月に新潟なのか

なぜ、ここまで大規模な国際映画祭を新潟という地方都市でやるのかと思う人もいるかもしれない。これについて、数土さんはこう説明する。

「海外でも映画祭は地方都市で開かれることが多いのが特徴です。映画祭は文化の発表の場でもあり、ビジネスの場でもあるのですが、同時に観光やレジャーのひとつなんですよね。地方都市に数日間滞在して、同好の人たちと美味しい食事を食べられる、観光資源が豊かな地方都市として新潟で開催することになりました。国内だけでなく、世界中から訪れてほしいと思います」

新潟で開催する背景には、人材育成や地方創生の目的もある。映画祭の運営には20年に新潟市に設立された「開志専門職大学」もあたっており、この開志専門職大学にはアニメ・マンガ学部が設置されている。他にも新潟市にはアニメ・漫画・ゲーム関係の専門学校が複数あり、多くのアニメ業界志望の学生が新潟県内だけでなく、北陸や東北一帯からも集まっている特徴がある。

「今回も、映画祭内で若手育成を目的としたセミナーの「アニメーションキャンパス」を実施します。これは40人の学生を映画祭に無償で招待し、監督やプロデューサーの講義を受講するものです。今回は国内だけでなく、半数の学生が海外から招かれているようですね」(数土直志 談)

新潟では元々漫画家の赤塚不二夫や高橋留美子など多くの漫画家を輩出してきた関係から、特に漫画を軸にした地方創生を進める動きも12年から始まっている。新潟市内だけでも、「新潟市マンガ・アニメ情報館」や「新潟市マンガの家」といった専門の文化施設が複数存在する。

映画祭ではこうした既存施設との連動のほか、地方創生面でも映画祭を役立てようとする動きがある。既に第1回でも新潟県や新潟市、新潟県商工会議所連合会、燕商工会議所といった政財界、そして新潟日報といった地元メディアと地域で一体となった取り組みをしている。

「特に新潟日報さんでは、号外の発行や前回映画祭期間中に評者の点数をまとめた点数表を日刊で出してもらいました。これが結構辛口で、とても評判でした。今年もまたやる予定です」(数土直志 談)

また、3月に開催する理由については数土さんがこう明かす。

「3月上旬には東京で『東京アニメアワードフェスティバル』が開催され、下旬には東京で世界最大級のアニメイベント『アニメジャパン』が開かれます。いずれも世界中から多くのアニメ関係者が集まる国際的イベントです。その間に開催することで、海外から参加しやすくする狙いがあります」