レオ(小松菜奈)とハル(門脇 麦)によるギターデュオ“ハルレオ”の解散ツアーを軸に、付き人・シマ(成田 凌)を含めた3人のさまざまな想いが交錯する映画『さよならくちびる』。本作は、ハルレオが歌う同名タイトルの主題歌を秦 基博が、挿入歌(「誰にだって訳がある」「たちまち嵐」)をあいみょんが楽曲提供していることでも注目が集まっている。映画のタイトルであり、物語の鍵ともなる楽曲「さよならくちびる」について、制作者の秦、そして主演の小松菜奈&門脇 麦に語ってもらった。
制作時に膨らませたイメージ、歌う時は“台詞を言うような感覚”で
――秦さんは本作の主題歌「さよならくちびる」を提供、プロデュースされましたが、オファーがあった時はどう思われましたか?
秦 まずは映画の中でハルとレオが歌う曲という、普段の楽曲提供とは違う距離感が面白いなと思いました。あと、最初にいただいた脚本の中にすでに「さよならくちびる」って言葉があって、そこからイメージがすごく広がったというのも大きかったので、ぜひやらせてくださいという感じでした。
――普段とは異なる距離感とはいえ、制作はスムーズにできた感じですか?
秦 そうですね。でも、完成披露のイベントで塩田(明彦)監督が「『さよならくちびる』という曲が映画の一番大事な部分」みたいなことをおっしゃられていて、その時に初めて、そんなにもこの曲に想いをかけてくださっていたのかということを知って、今さらながらビビってます(苦笑)。
小松&門脇 あはははは(笑)。
秦 もちろん当時から監督の熱い想いは伺っていたので、それに応えたいなとは思っていたんですけどね。曲を作っている時は、お二人の声をイメージすると同時に、脚本を読んで感じたハルとレオのキャラクターをイメージして。映画の中の二人だったら、どんなふうに「さよならくちびる」って言葉を歌うのかな? と考えながら作りました。
――小松さんと門脇さんは完成した曲を聴いてどう感じましたか?
小松 最初は本当に、純粋に素敵な曲だなって思いました。それと同時に、これをちゃんと私たちの色にするためにはどうしたらいいのかなってことも考えましたね。この曲にはハルとレオの関係性が描かれているので、台詞を言うような感覚で表現できればいいな、とか。あんまり歌、歌、って意識しちゃうと流れちゃうのかなって思ったので、撮影の時は、台詞のように語るイメージで歌っていました。でも、本当にこの曲があったから(映画が)成立していると思うし、私たちも大好きな曲です。自然と口ずさんじゃうんですよね。今でもこの曲を聴くと練習してた頃からのいろいろなことを思い出して、懐かしい気持ちになります。
――門脇さんはいかがですか? 劇中では、門脇さん演じるレオが作った曲という立ち位置になりますが。
門脇 映画の中ではハルとレオ、それからシマの3人が喧嘩するシーンはいっぱいありますけど、実はそれぞれがそれぞれのことをどう思っているのかっていう本音の部分は、台詞になっていなくて。そこをこの歌が全部表現してくれてるというか、それぞれへの想いが詰まってる歌詞だなって思いました。なので、菜奈ちゃんが言ったように、歌っていうよりは台詞に近いというか。この歌も込みで台本が完成するというような感覚があります。
――というお二人の感想を聞いて、秦さんはどうですか?
秦 めちゃめちゃ嬉しいです。本当はもっとニヤニヤしたいんですけど、カッコ悪いかなと思って我慢してます(笑)。
小松&門脇 あははは(笑)。
秦 でも本当に嬉しいですね。