- 古川:
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すごい理屈だ(笑)。
- 小山:
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なんてことを企んでいたら、悪い友達で、名前は言えないんだけど、三ツ矢雄二(「タッチ」上杉達也役など)って人がいてね。「茉美、茉美、こんな本見つけちゃった。」って。
- 平野:
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名前言っちゃってるし!(笑)
- 小山:
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その本には、ユナイテッド航空とオランダ航空の便を自由に乗り継いで、一年間で世界一周ができるオープンチケットの情報が載っていたの。それがなんと28万8000円だったんです。当時、日本とペルーの往復料金はもちろんそれ以上に高かった。だったら、このチケットを使って世界一周した方がお得だなって、どんどんイメージが拡がっていっちゃったの。
- 古川:
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確か最後は、アジアの方まで行ってたよね。
- 小山:
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そう、結局地球一周しちゃったの。その代わり、すぐに出かけるのは諦めて、一年間かけてスケジュールを調整して、新番組のご依頼はお断りして……。
- 古川:
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で、継続してた作品を下りて、皆さんにご迷惑をお掛けして(笑)。
- 小山:
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本当にごめんなさい!でも弁解させて!! “あの番組”は本当は1年で終わる予定だったんです。ところが大ヒットしちゃって何年も続くようなロングヒットになっちゃった。ただ、他の作品をお断りしている以上、あの作品だけを続けるわけにはいかなかったので、役を先輩の杉山佳寿子さんに引き継いでいただいて……もう、どの作品だか言っちゃったようなものだけど……(笑)。今だったら許されませんよね。
- 平野:
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ねぇねぇ、茉美ちゃんが世界一周に行くって私に教えてくれたときのこと覚えてる? 私、「それは貴重な体験だから絶対に一冊の本にまとめた方が良いよ」って言ったのよね。でも、茉美ちゃん、そういうのに全然興味ない感じで。ああ、本当に仕事を絡めて旅行したくないんだなぁ、って思った(笑)。
- 小山:
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またまたごめんなさい。全然覚えてない(笑)。でも、結局話を聞きつけた旅雑誌から依頼があって、毎月写真と文章を送って記事にしてもらったのよね。いや、でも本当に向こう見ずよね。何も考えずに、何も決めずに出かけちゃった。
- 平野:
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よくぞご無事でお戻りくださいました。
- 小山:
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でも、さすがに戻ってきたら仕事はないだろうなって覚悟だけはしていました。何か別の仕事を始めようかって思ってた。
- 平野:
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でも実際は……。
- 小山:
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帰ってきた翌日から洋画の仕事がだーーーっと入っていて。助かりました。
- 古川:
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小山茉美さんというと、アニメ声優としてもさることながら、吹き替えの世界でも大活躍されていますよね。
- 平野:
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色っぽいんだけど全然こびてなくて、ちょっと太めの低音。それがアメリカの女優さんに合っているんでしょうね。
- 古川:
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僕は共演させてもらった「フェーム/青春の旅立ち」(1982~1987年)が印象的かな。僕がブルーノ役、茉美ちゃんがジュリー役で。
- 小山:
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本当に古川さんは昔のことを良く覚えているわよね!(笑)
- 古川:
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いやいや、小山さん相手だから覚えてるんですよ(笑)。
- 平野:
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登志夫ちゃんから見た、声優・小山茉美の印象は?