Nov 14, 2019 interview

『影踏み』で再タッグ!篠原哲雄×山崎まさよしが語る“俳優論”、影響を受けた映画と音楽

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影響を受けた映画、サントラ、アーティスト

――お話は変わりますけど、お二人が飲みに行くとどんな感じなんでしょうか?

山崎 篠さんは寝ます(笑)。

篠原 僕の中に何だか周期があって2~3時間くらい経つと眠くなっちゃうんですよ。1回眠りを通り越してからは復活するんですけどね(笑)。

山崎 でも飲みに行くとお互いに長いと思います。(飲み歴は)20年来、打ち上げとか試写とかもありましたしね。

――最後に影響を受けた作品や音楽、人物などを教えてください。

篠原 『タクシードライバー』(76年)と、(アンドレイ・)タルコフスキーの『ストーカー』(79年)。いまで言う“ストーカー”の意味ではなく“探索者”とか“捜索者”という意味なんですけど、この作品が好きでほとんど2時間以上、漂うように観るんですけどね。『月とキャベツ』以前に『草の上の仕事』(93年)という映画を作った時は、この映画の影響があったと思います。

――山崎さんはいかがでしょうか?

山崎 ブルース・リーですね。初めて買ったレコードがブルース・リーの『燃えよドラゴン』(73年)とか『ドラゴンへの道』(72年)とか『死亡遊戯』(78年)とかの映画のサウンドトラックだったんです。小学生くらいの時かな。いや、とくにいまの音楽には反映されてないかもしれないんですけど、そっからいろいろ枝分かれして、自分も不思議と映画のサウンドトラックというか劇伴を作ることに結び付いてる――かどうかわかりませんけども、原点というか、音楽と映画が一緒になったものという感じですかね。

篠原 あぁ、カルチャーに対しての原点という意味で言ったら、僕はまずザ・ビートルズですね。その後、アメリカンニューシネマで、その後が80年代の日本映画、その後にヨーロッパの映画に至ってタルコフスキーになる。中学1年の時にザ・ビートルズを聴いて「こんな音楽があったんだ!」って衝撃を受けて。最初に買ったレコードは『ヘイ・ジュード』でした。

山崎 僕も好きだった女の子がビートルズが好きで、無理やり聴きました。

篠原 山ちゃんが最初に音楽に目覚めたのはどういうアーティスト?

山崎 たぶんですけど、僕、RCサクセションです。地元で(忌野)清志郎さん――RCサクセションのライブを観たんです。

篠原 僕も19歳くらいの時にRCサクセション観たよ。武蔵小金井の大学祭でライブがあって行ったんですよ。

山崎 あぁ、それ観たかったなぁ。

篠原 清志郎さんとは助監督時代にお会いしていて、ライブを観ましたと伝えたら、「そうか、そうか」と言いつつ、“助監督”という言葉の響きがおもしろかったらしくて、ずっと「助監督、助監督」と言い続けてくれたことをいまでも思い出します。

取材・文/熊谷真由子
撮影/はぎひさこ
山崎まさよし ヘアメイク/三原結花(M-FLAGS)
スタイリスト/宮崎まどか

プロフィール
篠原哲雄(しのはら・てつお)

1962年生まれ、東京都出身。助監督として森田芳光監督作などに就く傍ら、自主制作を開始。1989年の8ミリ『RUNNING HIGH』でPFF89特別賞を受賞。16ミリ『草の上の仕事』(93年)で神戸国際インディペンデント映画祭のグランプリを受賞した。山崎まさよし主演の初長編『月とキャベツ』(96年)がヒット。近年の監督作に『花戦さ』(17年)、『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』『ばぁちゃんロード』(18年)など。『月とキャベツ』のスタッフが再結集して制作した『君から目が離せない Eyes On You』(19年)では山崎まさよしが主題歌を提供した。

山崎まさよし(やまざき・まさよし)

1971年生まれ、山口県出身。1992年にRCサクセションの『トランジスタ・ラジオ』のカバーシングルでデビューし、95年の『月明かりに照らされて』でメジャーデビュー。近年の作品にアルバム『LIFE』(16年)、最新作は11月13日リリースのオリジナルアルバム『Quarter Note』。1996年には篠原哲雄監督作『月とキャベツ』に初主演し、映画の主題歌『One more time, One more chance』が大ヒット。俳優としての出演作に、劇中音楽も手掛けた主演作『8月のクリスマス』(05年)など。篠原監督とは『月とキャベツ』のほか、ショートフィルムのオムニバス映画『Jam Films』の一編『けん玉』でもタッグを組んだ。

公開情報
『影踏み』

ノビ師(泥棒)の真壁修一(山崎まさよし)は、ある夜、侵入した稲村邸で、寝ている夫に火を放とうとする妻・葉子(中村ゆり)を目撃する。咄嗟に止めに入ったが、なぜか偶然、その場に居合わせた刑事に現行犯逮捕される。2年後、出所した修一を迎えたのは、弟の啓二(北村匠海)と恋人の久子(尾野真千子)だけ。なぜ稲村邸への侵入がバレたのか? なぜ自分だけが逮捕されたのか? そして放火殺人を謀った葉子の行方は――。謎を解明するため、修一は探偵さながらの行動を開始する。そして、事件が明らかになるにつれ、修一、啓二、久子の運命の歯車も動き出す。
原作:横山秀夫『影踏み』祥伝社文庫
監督:篠原哲雄
脚本:菅野友恵
出演:山崎まさよし 尾野真千子 北村匠海  中村ゆり 竹原ピストル 中尾明慶 藤野涼子 下條アトム 根岸季衣 大石吾朗 高田里穂 真田麻垂美 田中要次  滝藤賢一 鶴見辰吾 / 大竹しのぶ
音楽:山崎将義
主題歌:山崎まさよし『影踏み』(EMI Records)
配給:東京テアトル
2019年11月15日(金)公開
©2019「影踏み」製作委員会
公式サイト:kagefumi-movie.jp

書籍情報
『影踏み』横山秀夫/祥伝社文庫