ワインは世界を惹きつける魅力がある
池ノ辺 原作を書かれる時に、映像化されるというのを意識して書くことはあるんですか。
伸 それはよくあります。ただ、今回みたいな海外で映像化という想定はなかったですね。しかもこの「神の雫」は、自分たちの趣味を一つくらい漫画にしたいというところから始まったものですから(笑)。
ゆう子 長くは続かないかもしれないけど、まあやってみるかと。
伸 2人ともワインが好きで、作品の中でのワインに関する表現は、自分たちがずっとやってきたことだったんです。2人で別の漫画原作を書いている時に、そろそろ飲みたいね、ガソリン欲しいねと(笑)。
ゆう子 夜遅くまでの仕事になるのでどうしてもそうなるわけですよ(笑)。
伸 それで飲んでいると、素晴らしいワインというのはイメージがあって、それを言葉にしておくと記憶もできる。
ゆう子 そのイメージが、2人の間でそれほど違いがなかったんです。そこから考えたら読んだ人にとってもそんなに変わらないんじゃないかと。
伸 それで、漫画になると思ったんです。
ゆう子 それでも周りは私たちがワインにハマっているというのを知ってますから、またワインかとヒンシュクを買わないかと一瞬は思いました(笑)。
伸 これが世界的に喜んで読んでもらえて、いろんな賞をもらったり招かれたりするようになるとは全然想像していなかった。むしろフランスでは読まれるのが怖いくらいに思っていたのに、あんなに評価されて勲章2つももらいましたからね。
ゆう子 フランスでフランスパンを売るようなものですよ(笑)。
池ノ辺 さらに今回のような形でドラマになるとは思わなかったと。
伸 想定外でした。
池ノ辺 やっぱり神がついているんですね。
ゆう子 ただ、このワインの世界というのは、私たちがここまでハマって、今もハマり続けているんだから、とてつもない魅力がある世界なんじゃないかということは感じてました。ものすごい魅力というか、魔力と言ってもいいような人を惹きつける魅力があるのだから、そこに共感して、その想いを分かち合ってくれる人がいるだろうという思いはありました。
伸 それはあるよね。こんなにハマる世界なんだからと。いい漫画家と組んで、この世界観の面白さをうまく伝えられれば絶対面白いだろうと思いました。
池ノ辺 ドラマを見た後で、改めて原作を読み直してます(笑)。
伸 僕らが漫画で「使徒」として出したワインなどは、値段がもう何倍にもなって今じゃ買えなくなってるくらい。これはものすごい影響力があるんだと思いましたよ。
池ノ辺 今回の製作総指揮のクラウス・ジマーマンさんも原作を読んで惹きつけられたんでしょうね。
ゆう子 ものすごい熱意を持ってお話をいただきました。