Sep 27, 2023 interview

原作者:亜樹直が語る ワインが全てという世界観は変わらない 「神の雫/Drops of God」

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世界的ワインの権威アレクサンドル・レジェが亡くなった。フランス・パリで暮らす彼の娘カミーユと、彼に師事していた遠峰一青は弁護士に呼び出され、彼の遺言を聞く。それは、ワインに関する3つのテストの勝者どちらかに、総額160億円にも及ぶ莫大な遺産を譲るという驚くべきものだった‥‥。ワインに人生を賭けた男と、ワインに運命を狂わされた女。若き2人の国境を越えた対決が今、幕を開けるーー。

世界的ワインブームを巻き起こした大人気漫画『神の雫』を大胆にアレンジ。原作の主人公である神咲雫をフランス人女性・カミーユに置き換え、山下智久演じる遠峰一青と対決する。

世界中の人々に五感の楽しみと、感情的かつ詩的なインパクトを与える魅力を兼ね備えた原作が、フランスと日本、イタリアを舞台にした壮大な国際連続ドラマとして、全く新しい形に生まれ変わった。

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、国際連続ドラマHuluオリジナル「神の雫/Drops of God」の原作漫画「神の雫」を手がけた亜樹直(樹林ゆう子/樹林伸)に、本作の見どころ、ワインへの想いなどを伺いました。

「神の雫」の世界観に生きる、女と男のドラマ

池ノ辺 ドラマ、拝見しました。面白くて一気に見てしまいました。

亜樹直・樹林ゆう子(以下ゆう子) 単純に面白いですよね。

池ノ辺 今回、配信でのドラマ化という話が来たとき、どんな風に思いましたか。

ゆう子 本当に実現するのか、実現しないような気がしてました(笑)。

池ノ辺 以前、韓国でドラマ化するという話も、結局実現しなかったですもんね。でも今回は実現しました。

亜樹直・樹林伸(以下伸) 実現しましたね。驚きました(笑)。

池ノ辺 映像も美しかったすね。

ゆう子 特にワインを表現するシーンなどは見事でした。飲みたくなるくらい、画面からワインの魅力が湧き立つようなシーンが結構ありました。

 野外のシーンなども、あの光が撮れるまで何度も撮影したんじゃないかと。

ゆう子 一度撮影現場を見に行ったんです。撮影がどんどん進むのかなと思っていたら‥‥。

 3分くらいのシーンを撮るのに何時間もかけるんですよ。

ゆう子 違う角度から何度も繰り返し撮っていましたね。ここまでやるのかというくらい。

池ノ辺 すでに各国では公開されていて、評判もかなりいいと聞いています。

ゆう子 すごいことですよね。

池ノ辺 今回のドラマでは、原作の神咲雫にあたる主人公が、カミーユというフランス人女性という設定で、山下智久さん演じる遠峰一青と対決します。男性から女性への変更についてはどう思われましたか?

ゆう子 その手もあったかと思いました(笑)。

 僕らが原作を手がけた作品はいろんな形で実写化されていますが、基本的には、自分たち以外のクリエイターの手が入ったものに関しては、もう別物だと思っていて、違いに神経質になりすぎないようにしています。

ゆう子 今回もそうですけど、別物として楽しめるということが大事ですね。

 これは2人でよく話していることですが、重要なのは世界観なんです。細かなストーリーというより、僕らが表現している世界観をちゃんと捉えていて、しかも面白く作ってくれるなら、変更はあっても構わない。

池ノ辺 変更については事前に話があったんですか。

伸 この企画は結構前から動いていたんですが、割と早い段階で大きな変更があるから相談したいという話が来て、その中の一つが主人公の雫を女性にしたいということだったんです。その時にもう即座に、それって面白い、アリだなと思いましたね。

ゆう子 世界が広がる感じがしますよね。男女ペアが人間の基本で、ワインにも男性的なものもあれば女性的なものもある。国籍にしてもそもそもワインも無国籍なものですしね。

伸 漫画の場合は、もともと僕が少年漫画の出身で、バトル感を強めたい、対決感を出したいというところから、男性 VS 男性の設定だったんですけど、ドラマではその必要はないですし十分に対決感も出ていました。むしろ男女の方が絵面もいいしドラマ感が強まる。

ゆう子 豊かな感じがしますよね。

池ノ辺 でも世界観は変わっていない。

ゆう子 そう、ワインが全てという世界観は変わっていなくて、ワインを求める人たちがワインの勝負をやっているファンタジーです。

伸 それで勝った方が百何十億という資産を手にする、しかもそれが全部ワインですからね。