Oct 09, 2022 interview

田村直己監督が語る 『七人の秘書 THE MOVIE』で実感した映画とテレビドラマが繋がることで生まれる相乗効果

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観終わった後に、あたたかい気持ちになるような作品を

池ノ辺 監督は映画大好き少年だったのに、なぜ映画ではなくてテレビの方に行ったんですか?

田村 ハリウッド映画が好きだったんです。小学生で『スター・ウォーズ』(1977年〜)に目覚めて。でも当時の日本映画はスペクタクルというよりは、日常の心情を扱ったものが多かった。それだったらテレビドラマの方がすごいんじゃないかと思ったんです。「北の国から」(2002年〜)が好きで、入社の時に「『北の国から』を作ります!」と言って入ったくらいです。

池ノ辺 そういう時代でしたよね。

田村 日本のドラマはすごくしっかり撮っていて、有名な役者もテレビに出ている。エンタテインメント性はドラマの方があるという感じでした。でも僕は映画も大好きでしたから、映画の撮り方、映画の感性で「平成仮面ライダー」シリーズや「ドクターX」を撮ってました。

「ドクターX」は、西部劇をやりたいと言っていたのをプロデューサーの内山さんが汲んでくれたんです。ですから米倉涼子さんは、最初、僕の演出には不満があったと思うんですよ。出来上がった1話を観た時にも「何これ?」って言われましたから。ただこちらとしてはテーマ性を持ってやっていましたから、段々に理解してくれたんじゃないかと思います。

池ノ辺 「ドクターX」も映画化できるんじゃないですか。

田村 米倉さんにはずいぶん前から「映画やろう」と言ってます。「面白かったらやってもいいよ」と言ってはくださってますけど(笑)。

池ノ辺 監督が仕事としてご自分の映像作品を世の中に発信していく時に、こだわっているものはなんですか?

田村 映画にしろテレビドラマにしろ、もちろんエンタテインメントですから、アクションもあるしミステリーもある。でも結局は人間が見たいと思うんです。ですから芝居にはこだわります。役者たちの芝居によって、それが見る人の心の奥に届くかどうかが決まりますから。

それは映画でもテレビドラマでも変わらない気がします。観終わった後に、あたたかい気持ちになってほしいというのが基本ですね。たとえ悪人の話でも、最後には、観てよかった、人間て悪くないね、そんなふうに感じてもらえたらいいですね。

池ノ辺 監督の作品が、終わった後に、誰かと長く話したいと思うのはそういう想いがあるからなんですね。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
写真 / 吉田周平

プロフィール
田村 直己(たむら なおき)

監督

代表作:【テレビドラマ】「平成仮面ライダー」シリーズ(2003~2009年)、「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズ(2012年~)、「未解決の女」(2018年~)、「桜の塔」(2021年)、「六本木クラス」(2022年)

作品情報
映画『七人の秘書 THE MOVIE』

出口の見えない日々に、停滞する日本社会。富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなるばかり。この理不尽な世の中を変えるのは誰だ?国や政界のトップか?いや、そうじゃない――。名も無き影の黒子たち、「七人の秘書」が史上最凶の敵に挑む。

監督:田村直己
脚本:中園ミホ

出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介、玉木宏、濱田岳、吉瀬美智子、笑福亭鶴瓶

配給:東宝

©2022「七人の秘書 THE MOVIE」製作委員会

公開中

公式サイト 7-hisho-movie.jp

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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