日本の観客は、特別な方法で自分の作品を理解してくれる
池ノ辺 監督の初めての映画体験は、9歳のときに見た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)だったと聞きました。
トレボロウ もちろんその前にも、映画館で映画を観ていましたが、一番衝撃的だったのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だったんです。というのは、脚本によって、自分なりのルールを作ったり、そのルールを映画の中で破ることすらできるんだと僕に気づかせてくれた最初の映画でしたから。あらゆる点で完璧な、しかも深く刺激を受けた映画でした。
池ノ辺 その時に、日本国内向けの予告編を製作したのは私なんです(笑)。
トレボロウ そうでしたか、すばらしいですね(笑)。
池ノ辺 その時から映画への想いは変わっていませんか?
トレボロウ そうですね。実は、この『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観るまで、僕は映画で起きていることはすべて実際に起きていることだと信じていました。例えば『スター・ウォーズ』シリーズ(1977〜)も、どこかで遥か昔に本当に起きたことだと思っていました。
今、僕は大人になって、映画を作る側にいますが、子どもたちが映画を観てこれが実際に起きていることだと信じるその感覚は、とても大切で、忘れてはいけないものだと思っています。だから、子どもたちが本当にリアルに信じられるような世界を創造していきたいと思っています。
池ノ辺 子どもたちはきっと恐竜が本物だと信じていますよ(笑)。
トレボロウ 僕もです(笑)。
池ノ辺 最初は映画を観る側にいて、今は映画を作る側にいるわけですが、監督にとって映画とはなんでしょうか。
トレボロウ 僕にとって映画というものは、コミュニケーションの手段であり、さまざまな思いを伝える手段でもあります。本当にパワーのある映画は、皆の心を結びつけて人々の気持ちを動かすことができると思います。だからこそ自分は、全世界に向けて映画を撮り続けたいと願っています。
これまで公開された僕の映画は、ここ日本では非常に成功していて、それはとても誇りに思っていますし、とても感謝しています。日本の皆さんは、何か特別な方法で自分の作品の狙いを深く理解してくれているのではないか、そんな気さえします。この作品でも、そんなふうに皆さんに受け入れてもらえたら、とてもうれしく思います。
池ノ辺 これからも私たちをワクワクさせてくださいね。
トレボロウ がんばります(笑)。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
写真 / 岡本英理
製作総指揮 / ストーリー原案 / 脚本 / 監督
カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。1999年、ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツを卒業。長編映画監督デビュー作である『彼女はパートタイムトラベラー』がサンダンス映画祭で注目され、「ジュラシック・パーク」シリーズの新作『ジュラシック・ワールド』(15)の監督に大抜てき。同作は興行収入16億ドルを超える歴史的大ヒットとなった。
『ジュラシック・パーク』シリーズの第6作目であり、『ジュラシック・ワールド』3部作の最終章にあたる。
監督:コリン・トレボロウ
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニール、ディワンダ・ワイズ、マムドゥ・アチー、BD・ウォン、オマール・シー、イザベラ・サーモン、キャンベル・スコット、ジャスティス・スミス、スコット・ヘイズ、ディーチェン・ラックマン、ダニエラ・ピネダ
吹替版声優:玉木宏、木村佳乃 ほか
配給:東宝東和
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