Apr 23, 2022 interview

津田健次郎が語る “表現”へのリスペクトが胸にあった『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』

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人生が声に表れる声優のすごさ

池ノ辺 今は声優さんになりたいという若い子がいっぱいいます。でも声優さんのお仕事ってたいへんじゃないのと思うんです。例えば役者さんは体で表現するじゃないですか、声優さんは声だけでいろいろ表現しなければならないわけですよね。

津田 まあ、なるべく表現が音になるようにという難しさはあるかもしれないです。

池ノ辺 今、津田さんはなぜ引っ張りだこなのかなと考えたときに、津田さん自身がいい形で豊かに年齢を重ねて、結果的に豊かな表現ができる人になっているんだろうなと思ったわけです。それに、誰にでも優しいし、人に対して、入ってこないでというようなバリアをつくることもないですよね。仕事でご一緒しても、最後に、スタッフの皆さんにまできちんとご挨拶して帰られる。

津田 なるべく丁寧に人と接したいなとは思っています。それと、スタッフさん一人一人があって作品が出来上がっていくんだというのはいつもすごく思います。声優にしても役者にしても、その舞台は誰かが用意してくださって初めてできる。それは脚本家だったり監督だったり、プロデューサーだったりミキサーだったり、本当にさまざまなスタッフの力の上に僕たちが演じる土俵をつくっていただいている。そこはきちんとわかってリスペクトしてやっていきたいということを年々強く感じています。年齢もキャリアもとりあえずは関係なく、みんなで一緒に一つの作品をつくっているという、そういう思いは年々強くなっています。

池ノ辺 私は仕事でいろんな方とお話ししますが、いろいろ経験を積むと威張ってしまう人たちも中にはいるんですよ。津田さんにはそれがないのが素晴らしいなと思って、その人間性が一つ一つの声に表れているんだろうなと‥‥。

津田 確かに声には人間性が乗っていくものだというのはわかる気がします。その方が面白いですよね。