Jan 21, 2022 interview

撮影現場でも宣伝を意識する 二宮健監督が語る『真夜中乙女戦争』と予告編

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撮影現場でも宣伝を意識する監督が語る『真夜中乙女戦争』と予告編

池ノ辺 今回、弊社で予告編を作らせていただいたんですが、どうでした?

二宮 僕は自主映画から始めたので、自分の映画の予告編は、自分で作らざるを得なかったんです。でも、その作業を僕はわりと楽しんでたんですよ。なので、自分の映画の予告編は自分で作ることが染み付いていたもので、商業映画でも1作目は自分で予告編を作ったんですよね。2本目3本目の予告編は、自分の手元から離れて作ってもらうというのを経験して、こういう客観性も大事だなと思いつつ、どこか物寂しい思いもして。なので、今回は自分も予告編作りになるべくコミットできるような形がとれると嬉しいですって宣伝プロデューサーに伝えたんです。

池ノ辺 監督が予告編を作っていた時代もあったけれども、マーケティングに乗るっていうことは、監督が伝えたいことを汲みつつ、どんなふうに宣伝をしていくかっていうことも意識するわけですね。今回の予告編は監督としてはどうでしたか?

二宮 僕なりにお伝えすることもしつつ、本来あるべき客観性みたいなものも予告編から立ち上がってきたから、そういった意味では非常に満足できる予告編ができたと思ってます。みんなにどう届いてますかね?

池ノ辺 予告編だけで泣いてる方もいたみたいですよ。

二宮 僕らも予告で泣く映画ってありましたよね。『クラウド アトラス』の5分40秒の予告編とか。

池ノ辺 お話を聞いていると、かなり予告編がお好きそうですね?

二宮 僕は予告編という文化が好きで、予告編を観るのも映画の楽しみの一個だなと思ってます。予告編っていうのは、新しく映画を組み立てる作業だと思うんですが、あまりにも本編と違うものだと、ツールとしての意味がないから、そこをどう組み立てるかだと思うんですよね。でも最近は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で一番みんながワクワクしてた最後に全員で突進するカットないですからね、本編に。あれが僕は素晴らしいと思っていて。やはり、もっと予告編のためのカットって作るべきだなって思っているんですよね。それが出来る余力が早く欲しい。

池ノ辺 予算とスケジュールですね。でも、映画監督で、そこまで予告編のことを考えておられる方は珍しいんじゃないですか?

二宮 僕は現場でも予告編のこともちょっと考えています。「これは予告編に使えるカットなのでぜひ」みたいなことは何回か言ってました(笑)。やはり根っから予告編が好きなんでしょうね。予告編にワクワクしながら映画を見てた記憶が原体験にあるので。こういうカットを撮っておかないと、予告でこの映画を一発で伝えられないって思うんでしょうね。

池ノ辺 それもあって、予告を見た人が、カッコいい映像だったとか、切なくなったとか書いてありました。

二宮 予告編に流れるのが、ビリー・アイリッシュっていうのも大きいですよね。世界観を彩ってくれました。本編では、ビリー・アイリッシュを流しながら映像をダイジェストにして見せることは出来ないですから。予告編の強さはそこだと思うんですよね。なので主題歌というものをPRとして強く打ち出す日本独自の文化が生まれたと思うんです。

池ノ辺 本当にビリー・アイリッシュが映画にピッタリでしたよね。

二宮 伝えづらいはずのこの映画の特異点を一気に、音楽が伝えてくれたんだなという気がします。