Oct 28, 2021 interview

原作者 瀬尾まいこが語る “ 心地良くて愛情をたくさん与えられた気持ちになった ” 映画『そして、バトンは渡された』

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映画ならではの「嘘と秘密」の魅力

池ノ辺 公式サイトのまいこ先生のコメントに、「短い予告編を観ただけで、小説の中にいた登場人物が実際に目の前に現れたようでドキドキしました。映画を観るのが楽しみです」とあったんですが、予告編を作る仕事をしている側からすると、すごく嬉しいコメントでした。

瀬尾 あの予告編を観たら、どんな話なんだろうと、すごくドキドキしますよね。

池ノ辺 ありがとうございます!

瀬尾 すごく引き込まれました。しかも、優子(永野芽郁)と森宮さん(田中圭)が一緒に味見して「うーんま!」とか言ってるシーンとか、ほのぼのしたシーンもありつつ、ドキドキもさせられて、素敵な予告だと思いました。

池ノ辺 そう言っていただけるのは、すごく嬉しいです。予告編って、宣伝の切り口を、どう映像で編集して見せていくかが大切なんですが、今回は「嘘と秘密」っていうキーワードを大きく打ち出そうということだったんです。でも、まいこ先生の原作は、愛にあふれたすごく温かい家族の物語っていうのがベースにあるので、小説と映画で同じストーリーを、少し違った形で表現しているっていうことを、どう予告編で伝えればいいのかを考えるのが、予告編のディレクターたちは大変だったみたいです。

瀬尾 最初、予告で「嘘と秘密」って文字を見たときは「そんな話だったっけ?」って一瞬思いました(笑)。「秘密ってどのこと?」と思って、ちょっとドキッとしたんですが、映画を観たら、すごく良いと思いました。

池ノ辺 私も最初できあがった予告を見たときに、「えっ、なんなの嘘と秘密って?」と思って、もう一度小説を読んでみようと思ったんです。その後で映画を観ると、「ああ、こういうことだったのね。それで、こんなに温かい気持ちになるのね」っていうのがすごくわかるんですよね。だから、この切り口は良かったなって私は思っているんですよ。でも、まいこ先生も、何だろうって思われたんですね?

瀬尾 はい、まんまと(笑)。