May 14, 2020 interview

池ノ辺直子と伊藤さとりが見た、映画と映画界の今 (3) / 新作映画 『15年後のラブソング』『カセットテープ・ダイアリーズ』

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ミュージシャンとしてのイーサン・ホーク

池ノ辺 この新作を見る前に、この過去作を見ておいた方が良いっていう映画はありますか?

伊藤 私はやっぱり俳優さんで見ることが多いんですよ。それで言うと、『15年後のラブソング』(6月12日公開)がめちゃくちゃ面白かったですよ。人気だったミュージシャンがその後どうしてんの?っていう話で、ネットを使って好きなミュージシャンの音楽評論をする男性と同棲している女性が、彼がリスペクトするミュージシャンについて批判的なことを書いたら、そのミュージシャンが彼女にコンタクトをしてきて物語が動き出すっていう映画なんです。

池ノ辺 ミュージシャン役は誰がやってるの?

伊藤 イーサン・ホーク。彼って、今までにもミュージシャン役をやってるんですよ。それが『リアリティ・バイツ』(1994年)。『15年後のラブソング』でもやっぱり歌ってるシーンがあるわけですよ。で、見直したわけですよ、『リアリティ・バイツ』を。やっぱり、めちゃくちゃカッコよくて。

『15年後のラブソング』公式サイト:https://15-lovesong.com/

池ノ辺 イーサン・ホークって他にもミュージシャン役やってませんでした?

伊藤 そう! リチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年)で、息子に歌をうたってたりするわけですよね。ジョニー・デップやキアヌ・リーブスじゃないけど、イーサン・ホークがバンド活動してないのが不思議でならない。そうやって新作と旧作ってつながるわけですよね。それが映画の面白さな気がします。

池ノ辺 実は『リアリティ・バイツ』の予告は私が作ったんですよ。

伊藤 素晴らしい!

池ノ辺 あの頃って、若い子たちの青春ドラマがいっぱい流行っていたときだったんですよね。

伊藤 ウィノナライダーが美しかった。『リアリティ・バイツ』は音楽もいっぱい使われていたから、予告編を作るの楽しかったんじゃないですか?

池ノ辺 昔は、予告が長かった。それと、本編を見てから作ることがすごく多かったんですね。いまは、映画が完成していなくてもどんどん広告展開していっちゃうんだけど、ちゃんと見てから作っていくから、音楽はどこを使おうとか、やっていましたね。

伊藤 『リアリティ・バイツ』のベン・スティラーの監督作品って『LIFE!』を観ても思ったんだけれども、音楽を愛してるじゃないですか? だから、ガンガン音楽が流れてるんですよ。『リアリティ・バイツ』は、ミュージカル映画じゃないのに、延々と台詞と一緒に歌ものの曲が流れ続けていく。『マイ・シャローナ』が流れると、みんなで踊る!そういうエンターテインメントとして音楽と映画が融合してる映画なのかな、『リアリティ・バイツ』は。今、まさに観てほしいぞって思いましたね。