May 10, 2020 interview

池ノ辺直子と伊藤さとりが見た、映画と映画界の今 (2) / 新作映画 『糸』『劇場』『ステップ』

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意外な映画と結びつく『ステップ』

池ノ辺 奥さんを亡くした夫と娘の10年間を描いた『ステップ』(近日公開)はどうでしたか?

伊藤 これは飯塚健監督が重松清さんの原作に惚れ込んで、脚本を書いてたんですって。そのとき、監督は山田孝之君と『REPLAY&DESTROY』なども撮っていて親交も深いから山田君に「この役演ってくれない?」って言ったら、「良いですよ。演りますよ、僕」ってうなずいたことから実現したんです。ただね、飯塚監督も言ってたんですが、やっぱり子供が生まれる前に書いた脚本と、生まれた後で書き直したものは全然違うんですって。自分自身が子供を持ってみて、前の脚本は全然違うと思って書き直したんです。

池ノ辺  価値観が変わったのね。

伊藤  それで監督に、この映画を作るにあたって、お手本にした映画や見直した映画はあるんですか?って聞いたら、なんとデレク・シアンフランス監督の『ブルーバレンタイン』(2010年)だって言うわけですよ 。

池ノ辺  なんで?違う話でしょう?

伊藤  私もびっくりしました。例えば『クレイマー、クレイマー』(1979年)とか『アイ・アム・サム』(2001年)とかだったら分かるけれども、『ブルーバレンタイン』?と思ったら、保育園児の時代から小学校を卒業するまで、その成長していく姿を2時間で見せるわけじゃないですか。それをいかに見せるかって言うときに『ブルーバレンタイン』は、2人が出会って、恋に落ちて、結婚して、ドロドロになっていって、その時間経過の見せ方がやっぱり見事だったですね 。

池ノ辺  あれはすごい映画でしたね 。

伊藤  デレク・シアンフランス監督って、感情に上手く寄り添って脚本作りをしているわけですよね。それを『ステップ』でも手本にしたんです。だから無理がないというか、子供の成長を見ていて、「もうこんなに大きくになったの?」って思わない。自然に一緒に成長している感じがするんです。私が『ステップ』を見て思ったのは、この映画の“ステップ”ってステップファーザーとか、ステップマザーの意味なんですよ 。

池ノ辺  ああ、なるほどね。父と娘の物語じゃないのね 。

伊藤  山田孝之君演じるシングルファーザーと、亡くなってしまった奥さんのお父さん、つまり義理のお父さんとの関係を描いているんです 。

池ノ辺 そっか、予告編でもそういうお父さんの一言が出てきますね。

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『ステップ』公式サイト: https://step-movie.jp/

伊藤 だから、公開までの間に『ブルーバレンタイン』を見ましょう(笑)。私の大好きなライアン・ゴズリングと、ミシェル・ウィリアムズが本当に良いし、ライアン・ゴズリングが本当に色っぽいんですよね。

池ノ辺 そうね。みんな『クレイマー、クレイマー』とか『アイ・アム・サム』を見ておこうと思うかもしれないけど、『ブルーバレンタイン』を見ておけばいいわけね。この監督は、この映画の前に何を撮っていたんだろうとか。関連する映画をすぐ見られるっていうのは、とっても良いことですね。

構成・文 / 吉田伊知郎

写真 / 吉田周平

池ノ辺直子と伊藤さとりが見た、映画と映画界の今 (3)
新作映画 『15年後のラブソング』『カセットテープ・ダイアリーズ』

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プロフィール
伊藤さとり(いとうさとり)

映画パーソナリティ

年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当。全国のTSUTAYA店内で流れるwave−C3「シネマmag」DJであり、自身が企画の映画番組、俳優や監督を招いての対談番組を多数持つ。また映画界、スターに詳しいこと、映画を心理的に定評があり、NTV「ZIP!」映画紹介枠、CX「めざまし土曜日」映画紹介枠 に解説で呼ばれることも多々。TOKYO-FM、JFN、TBSラジオの映画コーナー、映画番組特番DJ。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。心理カウンセリングも学んだことから「ぴあ」などで恋愛心理分析や映画心理テストも作成。著書「2分で距離を知事メル魔法の話術」(ワニブックス)。

伊藤さとり公式HP:https://itosatori.net

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、「ボディーガード」「フォレスト・ガンプ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ」「マディソン郡の橋」「トップガン」「羊たちの沈黙」「博士と彼女のセオリー」「ドリーム」「シェイプ・オブ・ウォーター」「スリー・ビルボード」 ほか1100本以上。 最新作は「ジョジョ・ラビット」「ジュディ 虹の彼方に」。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
映画が大好きな業界の人たちと語り合う「映画は愛よ!!」記事一覧はこちら

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