May 10, 2020 interview

池ノ辺直子と伊藤さとりが見た、映画と映画界の今 (2) / 新作映画 『糸』『劇場』『ステップ』

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行定勲監督が静かに描く心の闇

池ノ辺  日本映画だと『劇場』(近日公開)は4月に公開を予定されていたので、宣伝もずいぶん動いていたんですよね 。

伊藤  お客さんたちがみんな楽しみにしていた映画でしたからね。今までにない山崎賢人君が見られるんですよ 。

池ノ辺  全然違う風貌なんですって?

伊藤  又吉直樹さんの原作があった上での行定勲監督の作品なんですけど、あらすじを聞いたときは、「私みたいなタイプは好きじゃないやつ?」って思ったんです。なぜかと言うと、ダメ男を献身的に支える優しい女の子って、男性の憧れみたいで美談にしたくないというか。あなたをずっと待ってますとか、俺の夢を叶えたいんだとかブーブー言ってるヒモ男を家の中に入れて、家賃も女が持ってという生活は見たくない(笑)。でも、見たらまったく違った(笑)。「あれ、なんだこの展開!?」と思って。彼女は、彼のことが好きだし、彼のことを支えようと思うし、彼が幸せになってほしい、夢を叶えてほしいという思いで一緒にいるんだけど、そもそも自分自身の芯がしっかりしてない。東京へやってきて、自分に何が出来るんだろうと思ってる状態の女の子だから、崩壊していくんですよね。その崩壊した先の、これが女の本性だってところが……!!そしてその演技の振り幅には松岡茉優ちゃんお見事という感じで!

池ノ辺 あら、それは見たいわね。

伊藤 後半戦が面白くって。彼女が、バイクを友達からもらったって言って持って帰ってくる。それで彼氏に見せるわけですけど、彼氏はヤキモチを焼くわけですよね。で、ずっと彼氏がそのバイクでグルグルグルグル彼女の前を行ったり来たりしてるんだけど、彼女のことを無視しながらバイクを走らせるんですよ。でも、途中から彼女の表情が変わってきて……っていうところも、行定勲監督だから、ワザとこういう長回しするよねって。行定監督の特徴は、長回しなんですよね。だからこそ、ここで人の感情が変わるよっていう瞬間が、見られるわけですよ。『劇場』は、人間の“心”を行動や表情で見せてくる。まさに行定勲監督の色が出ていて見応えあるんです。

池ノ辺 いいわね〜。すごく観たくなった!

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『劇場』公式サイト: https://gekijyo-movie.com/

伊藤 私は行定勲監督の過去作がすごい好きなんですよね。『ひまわり』(2000年)とか『贅沢な骨』(2001年)とかね。『パレード』(2010年)なんかもそうなんだけど、静かに人間の心の闇を覗き込んでいる感じが好き。だから『劇場』を見ると、『パレード』をもう一回見たいなと思ったり 。

池ノ辺 そういう意味では、今だからいろんなものを見て『劇場』を見るのも良いかもしれないですね。

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