- 谷島
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今、僕は過去の作品の4K化をやっているし、去年はバーチャルリアリティー、VR映像を作ったんですよ。
『3月のライオン・聖地巡礼VR』です。
新しい技術に対して、どうヴィヴィットにプロデューサーとして反応するかというのを一つの命題として持っています。
- 池ノ辺
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でも、世の中にとっては早いかもしれないじゃないですか。
あえて挑戦するわけですね?
- 谷島
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そう。
デジタルの恩恵は果てしないし、技術革新に少しずつ対応していかないと。
今は時代の流れが速いから。
まずは誰よりも先んじてやってみる、です。
- 池ノ辺
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私ね、申し訳ないけど3Dの映画にあまり興味がなくて(笑)。
- 谷島
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わかるよ、それは。
- 池ノ辺
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だから、谷島さんがなぜ3Dをやっているのか訊きたかった。
- 谷島
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いくつか理由があるんですけど、僕らが子どもの時は、赤青メガネで見る3Dにワクワクしたので、「3D映画って楽しい!」という思い込みがあったんです。
それがデジタル技術の進化と共に、くっきりとしたカラー映像で昔と違う鮮やかな3Dが見られるようになった。
飛び出す映画を作りたい!って、すかさず“3次元映像”に飛び付きました。
で、2009年、『アバター』の公開より前に、日本はもとよりアジア圏初の3D映画となった『戦慄迷宮3D』を、『JUON』で全米ナンバーワンに輝いた清水崇監督と作ったんです。
- 池ノ辺
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ワクワクした感情を提供してくれるのが3Dだったと。
- 谷島
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『タワーリング・インフェルノ』は2Dだけども138階に自分がいるような感覚がある。
映画の中に観客がいかに入っていくか、スクリーンに“没入”していくか、という意味で、3Dは映像的に言うと究極、これ以上ない体感映画だと思っているんです。
2次元からひとつ増える3次元、それを使い熟す楽しさって、堪らないですよ。
2Dが遠く及ばない、崇高な映像と低俗な発想が共存する贅沢で神秘な世界、第3の映像革命なんです、3Dは。
- 池ノ辺
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谷島さんの原点だ!
『くるみ割り人形』はうちで予告編やったじゃないですか。
どうして昔の作品を3Dにしてもう一度やろうとしたんですか?