Apr 04, 2017 interview

第5回:プロデューサーは、撮影だけでなく 公開後のことも同時に考えないといけない。

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池ノ辺

具体的には何をしたんですか?

谷島

まず、タイトル。

原題は『The Legend of 1900』。

『海の上のピアニスト』は地味かなと思って、『レジェンド・オブ・ピアニスト』にしようかと最初は思ったんです。

池ノ辺

メジャーみたいなタイトルだ(笑)。

谷島

この4年ほど前に『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』というブラッド・ピットの映画がそこそこ当たっていたし、その方がいいかなと思って。

すごく迷ったんだけど、壮大な海の果てにピアニストが一人立っている絵が浮かんだわけ。

やっぱり『海の上のピアニスト』の方が神秘的で、スケール感が出るんじゃないかなと思った。

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池ノ辺

正解でしたよね。

谷島

そう、結果は正解だった。

わかりやすさとスケール感がタイトルから滲み出ていた。

あとは惹句を思い切り派手にしたんですよ。

セールスポイントとしては残念ながら『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督の最新作ということ以外になかった。

でも、あれは小規模公開だから地方の人は知らないかもしれない。

じゃ、外殻を一から作ってしまおうという事になるわけ。

この映画は1999年の12月に公開する正月映画。

そこで、2000年の新年にかけて上映されるので「20世紀最後の感動」というハッタリを使おうと。

それで今まで見てきたハリウッド映画のよくある宣伝文句に倣い、「1997年『シャイン』、1998年『タイタニック』、1999年『ライフ・イズ・ビューティフル』、そして2000年・・・『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督により、20世紀最後の感動が生まれる!」という惹句にしたんです。

池ノ辺

単館系じゃなくて、200館の映画に見えますね。

谷島

『シャイン』の音楽、『タイタニック』の大スケール、さらに『ライフ・イズ・ビューティフル』の感動が全部ここに詰まってますという風に、外面を派手にしていったんです。