Apr 04, 2017 interview

第5回:プロデューサーは、撮影だけでなく 公開後のことも同時に考えないといけない。

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season14  vol.05 アスミック・エース株式会社 配信企画プロジェクト推進室長 兼 コンテンツ事業部コンテンツ企画グループ長 谷島正之 氏

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映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」

5回目の今回は、4月22日に『3月のライオン【後編】』の公開を控えたアスミック・エース(株)のプロデューサー谷島正之さんが、以前宣伝を担当された『海の上のピアニスト』の日本で大ヒットした際のお話や、その後、宣伝とプロデューサーを兼ねたアソシエート・プロデューサーとして活躍された時のお話などを伺っていきます。

→前回までのコラムはこちら

池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)

自分で初めて映画を買い付けるためにサンダンス映画祭へ行かれたのが何年ですか?

谷島正之 (以下、谷島)

1993年かな?

そこで自分の目で発見した才能、映画を買って、自分の手で宣伝してヒットさせるぞという目標を作るわけです。

それでサンダンスで見つけてきたのが、『カルネ』というたった45分のフランス映画。

今や世界的なクリエイターとなったギャスパー・ノエのデビュー作です。

いま思い出しましたが、この年『X-MEN』のブライアン・シンガーとロバート・ロドリゲスのデビュー作なんかもありました。

明日の才能がゴロゴロしてたんですね(笑)

買い付けて、字幕スーパーの翻訳者とのやり取り、そして一から宣伝を組み立てて・・・ヒットしてくれましたよ。

池ノ辺

それが岐路になりました?

谷島

なった。

ちょっとした記録も作りました。

これは単館映画と呼ばれる小規模な作品、個性放ちながら長期ロングラン公開を目指すものです。

そういうサーキットでやって来た人間なりの技術や工夫をもって次にトライしたのが全国チェーン、全国一斉の大規模公開作品。

初めて200館以上で公開する映画を任されたのが『海の上のピアニスト』です。

池ノ辺

それまでの宣伝方法とは、どう違うんですか?

谷島

とにかく一番心がけたのは、映画が大きく見えるようにすること。

この作品、ご覧になるとわかるように、繊細なアート映画の側面も持つ、シネスイッチ銀座での単館上映でもいいような個性的な映画なのよ。

なぜならば、まず派手な役者は出てこない。

主演はティム・ロス、それ以外は全て無名という有様。

ジュゼッペ・トルナトーレと言っても単館でしか公開されたことのない監督です。

CGは精度が高くない、はっきり言ってチャチだし、内向的な話だし、2重苦3重苦。

この小さい映画を“大作”に見せるために、僕には少なからずヘラルドの血が流れているから、ハッタリをどうかけていくかにまずは全精力を傾けた。