- 池ノ辺
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お父さんから息子に言いたかったことが、一つの形になったということですかね?
- 谷島
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そうすると説教くさい映画に聞こえそうで嫌なんですが、見ている観客が濁流・激流に飲み込まれる、人生についてのエンタテインメント映画。
そんな作品を、ある種のみなぎる力が残っているうちに作りたかった。
『天国の門』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、『愛と哀しみのボレロ』、『横道世之介』やダルデンヌ兄弟の作品……私の個人的なベスト映画は、思えばみんなそう(笑)。
ヒューマン・スペクタクルです。
そういえば、このトリートメントには「好きなことが見つかると辛い」とも書いてある。
- 池ノ辺
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極めなきゃいけないから?
- 谷島
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好きなことを見つけると、そこにのめり込んでいくじゃないですか。そうすると、どんどん苦しくなってくるわけです。
僕は映画が大好きだけど、もう映画なんて二度と見たくないという気持ちになることもある。
特に宣伝をやっていた時は。
でも土日になると、ストレス解消に映画を4本見るわけですよ。
そうすると、ああ、映画ってオモロイなと思ってしまう。
好きなことを見つけること、見つけられた幸せって、生きていく上で一番だと思います。
気が付くとそれは、自分の道を切り開いていくことに繋がっている。
それが、いかに辛く美しいかということが、この原作には確実にあって、胸を打ったんだよね。
- 池ノ辺
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息子さんは『3月のライオン』を見て、多分気付いたと思いますよ。
- 谷島
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そうですかね……。
でもこの対談、読まれたくないな。
僕を知ってる人は、何を言ってるんだボケと思う(笑)。
- 池ノ辺
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いえいえ、大丈夫。
息子さんも、これからもっともっと極めていくと、もっともっと辛い事が増えていくかもしれないけど、『3月のライオン』にこめられたものを思い出すのではないかなと思います。
(文:モルモット吉田、写真:杉本晴)
映画『3月のライオン』
漫画家・羽海野チカの大ヒットコミックを、映画『るろうに剣心』
監督:大友啓史 原作:羽海野チカ(白泉社刊・ヤングアニマル連載中) 脚本:岩下悠子、渡部亮平、大友啓史
出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、
【前編】3月18日(土)大ヒット上映中 【後編】4月22日(土)公開 2部作連続・全国ロードショー 配給:東宝=アスミック・エース 公式サイト:http://3lion-movie.com
PROFILE
■谷島正之(たにしま・まさゆき)
アスミック・エース株式会社 配信企画プロジェクト推進室長、兼コンテンツ事業部・グルーブ長 1967年東京出身。91年にヘラルド・エース、現アスミック・エースに入社。宣伝部に所属し、『海の上のピアニスト』『カルネ』『ザ・リング』『のぼうの城』など、洋画・邦画問わず30本以上の作品を宣伝プロデュース。2007年から製作部に所属し、『きまぐれロボット』(辻川幸一郎/07)、『西の魔女が死んだ』(長崎俊一/08)、アジア圏初のデジタル3D映画『戦慄迷宮3D』(清水崇/09)、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品作『鉄男 THE BULLET MAN』(塚本晋也/09)、『ラビット・ホラー3D』(清水崇/10)を製作。共同製作として『さくらん』(蜷川実花/07)『ヘルタースケルター』(蜷川実花/12)。最近では、増田セバスチャン監督による極彩色ミュージカル・ファンタジー『くるみ割り人形』(14)、園子温監督作『リアル鬼ごっこ』(15)、白石和彌監督作『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15)を製作。現在、大友啓史監督との7年越しの映画『3月のライオン』の【前編】が公開中。著書に「3D世紀/驚異!立体映画の100年と映像新世紀」(ボーン・デジタル刊/共著)ほか。
<主な製作作品> 2005年 『大停電の夜に』(05/源孝志監督):アソシエート・プロデューサー / 06年 『デス・ルーム』(06/ジョー・ダンテ、ケン・ラッセル監督他):共同プロデューサー / 07年 『きまぐれロボット』(07/辻川幸一郎監督):企画・プロデュース、『さくらん』(07/蜷川実花監督):アソシエート・プロデューサー / 08年 『西の魔女が死んだ』(08/長崎俊一監督):プロデューサー 、『明日への遺言』(08/小泉堯史):プロデューサー・アシスタント、『グーグーだって猫である』(08/犬童一心監督):共同プロデューサー / 09年 『戦慄迷宮3D』(09/清水崇監督):プロデューサー、『鉄男 THE BULLET MAN』(09/塚本晋也監督):プロデューサー / 10年『ラビット・ホラー3D』(11/清水崇監督):プロデューサー / 11年 『がんばっぺ、フラガール!』(11/小林正樹監督):共同プロデューサー / 12年 『ヘルタースケルター』(12/蜷川実花監督):アソシエート・プロデューサー / 14年 『アラサーちゃん 無修正』(14):企画、『くるみ割り人形』(14/増田セバスチャン監督):プロデューサー / 15年 『リアル鬼ごっこ』(15/園子温監督):プロデューサー 、『リアル鬼ごっこ ライジング』(15/大畑創、内藤瑛亮、朝倉加葉子監督):企画・プロデュース、『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15/白石和彌監督):プロデューサー 、『さくらん【4K版】』(07/15)『博士の愛した数式【4K版】』(06/15):4K化プロデューサー / 16年 『ハチミツとクローバー【4K版】』(05-06/16):4K化プロデューサー / 17年 『愛のむきだし【最長版 ザ・テレビショー】』(17/園子温監督):企画・プロデュース 、『3月のライオン』(17年/大友啓史監督):プロデューサー