Jan 24, 2017 interview

第2回:『沈黙 サイレンス』の予告編を見ただけで涙が出るという声がいっぱいあって。

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season13  vol.02 株式会社 KADOKAWA 映像事業局 邦画・洋画 ディビジョンマネージャー 兼 映像営業部 ゼネラルマネージャー 加茂克也 氏

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(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」 第2回目は、先日全国に封切られた話題の映画『沈黙 サイレンス』について、(株)KADOKAWAの加茂克也さん、そして映画宣伝課シニアマネージャーの栗原弘行さんに引き続き詳しいお話を伺っていきます。

→前回までのコラムはこちら

池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)

映画『沈黙 サイレンス』無事初日を迎えて、おめでとうございます。

そして、土日の動員は10万4600人、興収1億3300万円。

素晴らしい数字ですね、おめでとうございました!

私も初日の舞台挨拶を見せて頂いたんですけど、私はもう、涙が止まらなかった。

窪塚くんの挨拶がとても良かった。彼自身もこの映画を通して成長したんだな〜と、親戚のおばちゃんの気持ちでうれしかったです。(笑)

映画も見終わって、なんというか魂が掻き毟られるというか、私、きっと踏み絵をやってたんだろうなと思わされた。窪塚くんと同士だと(笑)

そう実感するほど生々しかったし、1600年代の江戸時代に日本で起きていたことが、21世紀の今、世界で起きていることと全然変わらない、まだ宗教戦争が起きている。

それをスコセッシ監督は描きたかったんだろうなと、思ってたんです。

監督はこのプロジェクトにずいぶんと時間をかけられていますよね?

加茂克也 (以下、加茂)

28年もかかったんですよ。

池ノ辺

どうしてここまで時間がかかって、諦めずに実現させたんでしょう?

ike

栗原弘行 (以下 栗原)

スコセッシはニューヨークのリトルイタリーで育ったカトリックですけど、幼少の頃は、自分は将来、マフィアか司教になると思っていたそうです。

1988年に、キリストの人間性に迫った『最後の誘惑』を撮ったんです。

これは、キリストがマグダラのマリアが結婚する夢想をするなど、その解釈を巡ってアメリカでも激しい論議が起きた。

「これはキリスト教への冒涜だ」という人もいれば、「素晴らしい」と激賞する人もいて、賛否真っ二つに分かれた。

その騒動の中、スコセッシはニューヨークの大司教から、「あなたはこの本を読むべきだ」と渡されたのが、遠藤周作さんの「沈黙」だったんです。

そしてスコセッシは一読して、これは私が映画化しなければいけないと決めた。

ただ、それを、どうやって映画化するか、脚本の完成までに、ものすごい時間がかかったんです。

小説に描かれていることはわかるけど、これをどう表現するのかと。実際、脚本家のジェイ・コックスと共同で書いたのですが20回以上、書き直したそうです。

加茂

先の1月2日にNHK-BSで、「巨匠スコセッシ“沈黙”に挑む~よみがえる遠藤周作の世界~」という番組がオンエアされたでしょう。

隠れキリスタンを演じた塚本晋也監督がナビゲーターとして、スコセッシがなぜ、遠藤周作の世界に引かれていったのかを解き明かす内容でしたけど、あの番組をきっかけに、おかげさまで、「映画をぜひ見ようと思った」という人がスゴく増えたんです。

栗原

とてもいい内容でしたからね。

ああいう番組もそうですが、映画を見て下さった製作にかかわった日本人の方やキャストの方々も皆さん、「この作品なら、何でも協力します」と言ってくれる。